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ニ長調~ヴェルクマイスターで24調・第3回

ヴェルクマイスターで24調シリーズ(詳細)、今回はニ長調です。
調号がシャープ2つで運指もハ長調と良く似ており、初心者向けのピアノ曲でもお馴染みの調ですね。
バロック~古典派時代にはごく普通に使われ、ヴァイオリンが良く鳴る調としても有名です。
ですがヴェルクマイスター的にはちょっと…な面がありまして、まあ聴いていただきましょう。

◆ギロック/「伝説」(転調:平行調のロ短調)


◆ロバート・D・ヴァンドール/プレリュード 第2番 ニ長調(転調:平行調のロ短調)


ヴェルクマイスターのニ長調は、音階内に狭い五度が3つあり、しかもそのうちの1つが主和音のD-Aです。


この「主和音の五度が狭い」は、弾いていて困りものですね。
やはり曲中によく出てくるわけですよ。
さらに平行調のロ短調に転調(ありがち)すると、その主和音の五度B-F#も狭い!
(踏んだり蹴ったり)
「伝説」のように同時打鍵の和音が多い曲は、「ボーン」「ドーン」といった鳴り方で、和音のヌケが悪く響きがモコモコしてしまいます。
和音をクッキリ決めたいな~と思っても、なかなかピアノがイメージ通りに鳴ってくれません。
純正より約6セント狭い五度は、(旋律などの)音程的にはまあ許せるのですが、響き的にはかなりキビシく、特にペダルを多用する曲では影響が大きいと感じます。

しかしヴァンドールのプレリュードのように音がバラけていれば、五度の濁りはあまり気にならず、全体に角の取れた柔らかい響きに聴こえ、これはこれでアリかな?という気がしました。
こちらは弾いていて特に嫌な感じはなかったです。

一方、主要な長三度を平均律と比べてみると、G-B、D-F#は約4セント改善、A-C#が約2セント劣化しています。
この程度だと耳の誤差?の範囲内なんでしょうか、ヴェルクマイスターで弾き慣れた(聴き慣れた)ニ長調の曲を、平均律で弾いてもそれほど違いを感じないんですね。
まあ同じようなものだ、ということです。

これがハ長調やヘ長調だと、C-EやF-Aの長三度が平均律はヴェルクマイスターより約10セントも劣化していて、「えええ~~~っ!?」と驚くほど狂っているのがすぐに分かります!
音楽的な耳にとって、10セント(=平均律半音の10分の1)の違いは決定的ということでしょう。
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変ニ長調~ヴェルクマイスターで24調・第2回

ヴェルクマイスターで24調シリーズ(詳細)第2回は、調号がフラット5つの変ニ長調です。
書法の異なる2曲を弾いてみました。

まずは右手旋律+左手分散和音の伴奏…というスタイルの曲。
◆ロバート・D・ヴァンドール/プレリュード 第16番 変ニ長調 (転調:平行調の変ロ短調)


一方こちらは和音中心の曲。
◆グルリット/「賛歌」Op.201-21 (転調:属調の変イ長調)


ヴェルクマイスターの変ニ長調は、五度が純正な一方、長三度がバカ広いピタゴラス音階になります。いわゆる音律のですね。
どちらの曲も臨時記号はごくわずかしか使われてないため、ほぼピタゴラス律で鳴っていると思って下さい。


ヴァンドールのプレリュードは澄んだ響きが美しく、旋律も伸びやかに聴こえて、弾いていても気持ちが良かったです。
中間部で右手に和音が出る箇所(ココが山場なんですが…)に、長三度の狂いが目立つのが残念とはいえ、全体的にはハマリだと思いました。
試しに使わない五度にウルフを置いたピタゴラス律で弾いてみると、楽器の響き全体がさらに良くなり、もっと気持ちが良かったです(笑)。
「ヴェルクマイスターで24調」企画でなければ、この曲はピタゴラス律で録音してYoutubeにアップしたでしょうね。

不等分律の裏やピタゴラス律が「旋律的な曲に向いている」というのは、事実だと思います。
伴奏に相当する部分も、同時打鍵をできるだけ避けた分散和音のような形にすれば、欠点である長三度の大きなズレが比較的目立たず、純正五度の多さがそれを補って余りあるので、どちらも合っていない平均律より響きのクオリティが上がる印象です。

一方、グルリット「賛歌」は、ちょっと微妙でした。
この曲は主題と2つの変奏になっていますが、四声コラール様式の主題と和音に波線アルペジオ記号がついている第二変奏は、「うむむ、三度ハズレてる…うなりも酷い…」と、眉(耳か?)をしかめながら弾いていました。
右手が分散和音になる第一変奏は、割と良いですけど。

しかしここで気をつけたいのは、グルリット(1820-1901)はその活躍年代からして何らかの不等分律を使っていた可能性が高いという点です。
ヴェルクマイスターでなかったとしても、よほど変わった不等分律でない限り、変ニ長調は「裏」となり、和音をガンガン弾いたら汚く聴こえるはず。
実はこの曲、和音メインの主題と第二変奏が「p」で、分散音型の第一変奏だけが「mf」なんですよ。
この強弱指定は、不等分律の事情を考えれば十分納得できます。
ピアノは弱音ほど音がボンヤリするため、音程の欠点がかなりごまかせるんですね。
もし逆の指定だったら、もっと酷いことになっていたはずです。

それでも変ニ長調はちょっとヘンな響き…なのは、これが不等分律の調性感!とプラスに捉えるべきなんでしょう。
(日常的な昼に対して)夜、異世界といったイメージで弾くのは悪くありません。
こういうところは平均律よりずっと感性が磨かれると思います。

なお「賛歌」を、電子ピアノのフォルテピアノ音で録音したのがこちらです。
現代ピアノの音では、全体的に中低音でモゴモゴしている曲が、クッキリ聴こえてハッとしますね。
おそらくこのような音が、作曲時のグルリットのピアノに近かったのではないでしょうか?
そして不等分律の調性感も、こちらの方が良く分かります。

ロ長調~ヴェルクマイスターで24調・第1回

ヴェルクマイスターで24調シリーズ(詳細)、いきなり調号がシャープ5つのロ長調から始まり始まり~♪
このシリーズで主に使う2つの全調曲集から、1曲ずつ弾いてみました。
何となく聴いてるぶんには大きな問題はない、と思いますが…

◆ロバート・D・ヴァンドール/プレリュード 第14番 ロ長調(転調:ホ長調、ト長調)


◆デニス・アレクサンダー/ 小ノクターン ロ長調(転調なし)


ロ長調はヴェルクマイスターにとって微妙な調です。
主和音の五度B-F#が狭い上、主要三和音の長三度はいずれも平均律より純正からのズレが大きくなっています。
しかし純正五度も多いので、響きとしては割とスッキリしてるでしょうか。
また広い長三度は、旋律的な曲には向いていると言われています。


弾いてみて…やはり主和音の五度が純正より6セントも狭いのは、嬉しくないというのが実感。
主和音はしょっちゅう出てくるわけです、曲中に。
スタッカートの和音がピシッと一つに聴こえないし、ペダルを踏んだ(分散)和音ではモヤモヤします。(特に中低音域)
最初は自分の弾き方やペダルの踏み替えがマズいのかな?と思ったんですよ。
でも気になる所の音を確かめると、みんな狭い五度が関係してたんですね。
平均律だとどの五度も同じなので一々気づきませんが、ヴェルクマイスターは純正五度もたくさんあり、しかも楽器全体の響きが平均律よりクリアなため、「合ってない」五度の残念感が大きいのです。

ヴァンドールのプレリュードでは、中間部分でホ長調、ト長調に転調しており、ここで左手がB-F#の他にG-DやD-Aの狭い五度も弾く(しかも空五度で!)のはどうもアカンですね。
アレクサンダーの方は和音が少なく、大部分が単音の旋律と伴奏なのでまあまあも、終止ひとつ前のアルペジオがどうもしっとりキマリません。
ここは下からB-F#-B-D#-F#-B-D#で、要するに主和音をジャラジャラ~~と弾いてるのですけど、五度・四度・長三度のどれ一つとして合ってない(いずれも平均律より悪い)のだから、余韻がうなって大きく揺れるのも当然です。

じゃあ平均律にすれば解決するのかというと、空五度問題はだいぶ改善しますが、B-F#-B-D#-F#-B-D#の方はたいして変わらない、多少マシになっても外れてるのは同じ…という印象でした。
だ・か・ら、アルペジオになってるわけですよ(笑)。
平均律の現代ピアノではどの調でも、音が太くて良く伸びる中低音域や耳が音程に敏感な中音域で和音を同時打鍵すれば、そこに長三度を含む場合かなりみっともない響きになります。
アルペジオにすればそれがだいぶ緩和されるんですよね。

どちらの曲も現代作品なので、(作曲家が意識してるかはともかく)平均律の欠点が露呈しないような書き方になってるのでしょう。
そのためヴェルクマイスターの長三度劣化領域で弾いても、決定的に困る事態が回避できるのだと思われます。
(これは他の調号が多い現代作品についても言えることです)

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