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ホ長調~ヴェルクマイスターで24調・第6回

ヴェルクマイスターで24調シリーズ(詳細)、今回は調号がシャープ4つのホ長調です。

◆デニス・アレクサンダー/「天上の子守歌」(臨時記号が一切ないので、ホ長調音階の音しか使っていません)


◆グルリット/「舟歌」Op.201-15 (転調なし)


ホ長調の音階構成音は五度圏図ではちょうど下半分で、ヴァルクマイスターの半裏領域といったところでしょうか。
狭い五度は音階内にたった1つ(B-F#)あるだけです。


最も重要な主和音の五度E-Bと、下属和音のA-Eが純正なのが大きな利点ですが、その一方で長三度は全て平均律よりも劣化しています。
しかし実際に曲を弾いてみると、広めの長三度は明るく旋律も伸び伸び聴こえて悪くなく、純正五度のクッキリした響きと相まって、総合的には非常に良い印象でした。
ホ長調に対して何となく自分が持っていたイメージと、ピッタリの鳴り方するんですね。
特にグルリット「舟歌」は爽やかで音律とのハマリ具合が絶妙、弾いていても気持ちが良かったです。

ところで私は子供の頃、ご多分にもれず「バイエル」でピアノの勉強を始めましたが、バイエルではフラット系は調号2つの変ロ長調までなのに、シャープ系は何故か調号4つのホ長調まで登場します。
当時からすでに、ハ長調からト長調⇒ニ長調⇒イ長調…とシャープが増えるにつれ、音がニギニギ(変な表現ですが、ホントにこういう感じ)してきて緊張度が高くなるけど、それがホ長調になると急に緩んでおおらかになるイメージを持っていました。
突然広い牧場に出たような気分なので、ホ長調の自分的イメージカラーは緑色ですね~、もうこれ以外考えられません(笑)。
本来、平均律の電気オルガンやピアノではこのような調性感なんて無いはずなのに、不思議なものです。

不等分律が主流だったバロック末期や古典派からロマン派の時代、よほど特殊な音律でもなければ、シャープ系ではホ長調あたりから目立って長三度が広くなるはずですから、その印象がホ長調のイメージを形作るとか、作曲家も無意識のうちにそれに影響されてしまうのかもしれません。
または「この曲の性格にはホ長調がピッタリだ」という順番もあるでしょうね。
現代の作曲家であっても、全調曲集のような「調」を意識する作品の場合は、古典作品を聴いて形作られた調性格(といっても共通認識があるわけではないので、その人なりの…でしょうけど)に有形無形の影響を受けているのだと思います。

◆オマケ◆
シューマン《ユーゲントアルバム》からホ長調の「春の歌」を、電子ピアノのフォルテピアノ音+ヴェルクマイスターで演奏したものがこちら
クッキリと明るいヴェルクマイスターのホ長調と、春の到来に心浮き立つ曲調が相性抜群、同曲集の「五月、愛する五月」もやはりホ長調です。
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ロ短調~ヴェルクマイスターで24調・第5回

ヴェルクマイスターで24調シリーズ(詳細)、短調のトップバッターはロ短調です。

◆ロバート・D・ヴァンドール/プレリュード 第7番 ロ短調(転調なし)

★3段階に難易度分けしてあるこの曲集の、一番簡単なグループの中で非常に人気のある曲です

◆グルリット/「高貴なワルツ」Op.201-8(転調:平行調のニ長調)

★ショパンのロ短調ワルツ、Op.69-2の予備練習に使えそうな曲

短調の音階構成音を五度圏図に書くと、自然的短音階では長調と同じく半円状に連続して音が並びますが、和声的短音階(最もよく使われる)では第7音を半音上げ導音とするので、下図のようになります。(AがA#となることに注意)

主和音が「B-D-F#」、属和音が同主調のロ長調と共通で「F#-A#-C#」(長三和音になります)、下属和音が「E-G-B」ですね。
(コードネームではそれぞれ「Bm」「F#」「Em」)
ヴェルクマイスターでは、主和音の五度B-F#が狭い、属和音の長三度F#-A#が広い(ピタゴラス長三度)のが残念な点でしょうか。

一般に短調は、長調と比べて音律の弱点があまり気になりません。
少々響きが悪かろうが音程がハズレようが、むしろそれが短調曲らしい陰鬱さや苦悶の表現にプラスになることもあるからです。
で、上の2曲を弾いてみて、ヴァンドールのプレリュードは分散和音中心の書法のせいか、特に不快な点はありませんでした。
ベートーヴェンの「月光」ソナタ第1楽章を思わせる深遠な曲調が印象的ですね。

しかしグルリットの方は困りました…左手のブンチャッチャ♪の「チャッチャ」にまずい音程がたくさん含まれてるわけですよ。
どうもスカッと和音が決まらない、モゴモゴするのは弾き方が悪いのか?と最初は思ったんですが、音律のせいも多々あるようです。
しかもこの曲、これまたヴェルクマイスターが苦手なニ長調にも転調してる!
やはりこの部分も「響きがなんだかな…」と眉(耳か?)をしかめなら弾くハメになりました。
悪い音程が含まれている同時打鍵の和音が、曲中何度も鳴ると辛いものがありますね。
私はワルツの左手跳躍が不得手なこともあって、この曲はあまり楽しく弾けませんでした。

平行調同士のニ長調←→ロ短調を行ったり来たりする和音の多い曲は、ヴェルクマイスター向きではないとして良さそうです。
でも時代的に、このグルリットの全調曲集は何らかの不等分律で書かれているはずなんですけどね…
今のところ、平均律で書かれている(はずの)ヴァンドールの方が、ヴェルクマイスターでも健闘しているのが不思議です。

嬰ヘ長調~ヴェルクマイスターで24調・第4回

ヴェルクマイスターで24調シリーズ(詳細)、今回は調号にシャープが6つ!もつく、嬰ヘ長調です。
鍵盤上では、調号がフラット6つの変ト長調と異名同音なので、全調モノの曲集はどちらかを選んで記譜されています。
ところが2015年に出版されたメロディ・ボバーのIn All Keysでは、Book1:sharp keysとBook2:flat keysの二分冊になっていて、調号が5つ以上の調では同じ曲がシャープ系とフラット系双方で載っているんですね。
(変ニ長調と嬰ハ長調、嬰ヘ長調と変ト長調など)
読譜が得意な方で弾くもよし、苦手な方で勉強するもよし…ということなのでしょう。
…ということで、今回は次の曲を嬰ヘ長調曲として扱います。

◆メロディ・ボバー/ Reflections in the Stream(転調:平行調の嬰ニ短調)

★臨時記号がないので、嬰ヘ長調音階内の7音しか使っていません

◆ロバート・D・ヴァンドール/プレリュード 第18番 嬰ヘ長調(転調:イ長調、ホ長調)

★同じ米国教育作品のギロックやアレクサンダーの全調曲集が変ト長調を採用している中、こちらは嬰ヘ長調でした
★楽譜の指示により、中間部分以外でソフト(左側)ペダルを使用

ヴェルクマイスターでの嬰ヘ長調は、音階内に狭い五度が1つだけしかなく、ほぼ裏領域ということになります。

長三度は広すぎますが、純正五度が多いので響きがクッキリ透明で、分散和音やパッセージは長調らしい明るさがあって、なかなか良い感じですね。
主和音の五度(←重要!)F#-C#が純正なのもポイント高いです。
一方、和音の同時打鍵は三度がだいぶハズれる印象…ボバーの曲の中間部分がそうで、このような箇所は平均律なら多少マシになります。
(ただし平均律は全体に響きが曇ってしまいますが)
自分的にはヴェルクマイスターの裏系の響き、弾いていて気持ちが良いので好みです。

ところで嬰ヘ長調は、音階7音のうち5つが黒鍵…という「黒鍵の多い調」として知られています。
黒鍵は高さがあり黒鍵同士が離れているので、それを上手く利用すると「覚えやすく弾きやすい」曲を書くことができます。
急速なアルペジオが多い曲、五音音階の旋律などの場合ですね。
上掲の2曲はどちらも、メイン主題部分でそれが上手く利用されており非常に弾きやすいのですが、中間部分はそうでもないです。
相当「ゆびれん」やっていないと、黒鍵・白鍵の高さや位置の違いを吸収できず、16分音符がガタガタになってしまうでしょう。

それとこの2曲を比較すると(どちらも同じ米アルフレッド社出版の全調曲集なのに)、作曲家の才能の差があまりに顕で怖いくらいですね。
どっちがどうと言わずとも一目(一聴?)瞭然かと思いますが…。
実はヴァンドール、彼の作品中この全調曲集が飛び抜けて出来が良い(と私は思う)んですよ。
で、それまでイマイチ感があったボバーも In All Keys で化けるのを期待して楽譜買ったんですが…相変わらずの通常運転でした(苦笑)。

もっとも、単純な書法と想定内の展開に終始する彼女の作風は、込み入った曲を手掛ける前のステップとしては最適で、この曲集も慣れていない調の譜読みの練習にはむしろ向いています。
今回私も嬰ヘ長調は初めてだったので、先にボバーの曲を数日で仕上げてから、ヴァンドールの方に取り掛かりました。
後者は彼独特の変則的な転調のせいで臨時記号が多く、嬰ヘ長調に慣れてない状態でいきなりやると頭が混乱するかと思います。

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