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ヘ長調~ヴェルクマイスターで24調・第9回

ヴェルクマイスターで24調シリーズ(詳細)、今回は調号がフラット1つで初心者向けの曲にもよく使われるヘ長調です。

◆ロバート・D・ヴァンドール/プレリュード 第4番 ヘ長調


◆デニス・アレクサンダー/モーニング・グローリー


今のところ私は、ヴェルクマイスターが一番美しく響くのはヘ長調ではないか、という印象を持っています。
少なくとも音律オモテ系の長調では圧倒的に良いですね!
え、ハ長調じゃないの?と思う方もいるでしょう、でもハ長調は主要な長3度は良くても主和音の5度C-Gと属和音の5度G-Dが狭く、ペダルを多用する曲ではモヤモヤするんですよ。
その点ヘ長調は、主和音のF-Cと下属和音B♭-Fの5度がどちらも純正なのが非常に効いています。


また主要な長三度を見てみると、F-AとC-Eは純正でないまでも非常に良く、下属和音のB♭-Dが少々落ちますが、それでも平均律長3度よりはマシで、よほど相性の悪い曲でもない限り気持ちよく演奏できます。
逆に、ヴェルクマイスターで慣れたヘ長調曲を平均律で弾くと、F-AやC-Eの長3度音程のあまりの悪さにゲゲッ!っと驚くことはしょっちゅうです(笑)。
平均律しか知らなかった昔、こういう音程の酷さに気づかなかったなんて、今では信じられないですね。
もっとも、ある年齢まで平均律にどっぷり浸かっていても、その後色々な音律を体験して耳が磨かれれば、「違いが分かる」ようになるとも言えます。

読譜しやすいヘ長調ですが、私は昔あまり好きではありませんでした。
黒鍵位置の関係で、音階の運指がやや変則的だからです。
ト長調やニ長調などのシャープ系の方が、断然弾きやすく好きでした。
でも現在、ヴェルクマイスターを常用音律としている限りでは、これが逆転してしまいましたね。
弾きたい曲がヘ長調だと、ラッキー♪と思います。
一方でト長調やニ長調の曲は何となく後回し、やむを得ず?弾く時は、ヴェルクマイスターを使わず、平均律にしてしまうこともあるくらいです。
音律の影響って大きいですね~!

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ト短調~ヴェルクマイスターで24調・第8回

ヴェルクマイスターで24調シリーズ(詳細)、今回は調号がフラット2つのト短調です。

◆ギロック/荒れ果てた舞踏室 (転調:ニ長調)


◆ロバート・D・ヴァンドール/プレリュード 第12番・ト短調(転調:ハ短調、ハ長調など)


ト短調は主和音・属和音・下属和音の5度全てが、ヴェルクマイスターの狭い五度C-G-D-Aになり、響きが曇ってモコモコする印象です。


それが短調の陰鬱さを強調する効果もあるとは言え、純正5度の多い「裏」の透明感を知っていると、演奏する楽しさはイマイチでした。
まあ「荒れ果てた舞踏室」は、表題の雰囲気と合っていると言えなくもないですけど。
しかしヴァンドールのプレリュードは、曲全体にペダルを使い、しかも左手の中低音に空5度が多いため、音のヌケが悪く少々弾きにくかったです。
ハ短調やハ長調に転調しても、主和音の5度は狭いままで、肝心な所でスカッと鳴ってくれません。
この12番は、曲集中の秀作の一つと思うので、ヴェルクで24調シリーズやってなかったら、基音変更などでもう少し音律を工夫したでしょうね…ちょっと残念。

まだ記事は書いてませんが、ト短調の同主調であるト長調も同様の理由でモコモコ(笑)してますから、この2つの間で同主調転調する曲は、ヴェルクマイスター向きではないと思います。
一般に、調号の少ない曲は古典調律、多くなるに従って平均律が有利…などと言うのは、長三度のことしか考慮してないのでしょう。
ペダルを多用する曲では、5度が狭いのは辛いです。

ところでヴァンドールのプレリュードには、長・短調の他に 34秒~43秒の部分で、ヘ音を主音とするリディア旋法(Fリディアン・モード)が4小節だけ登場します。
調号で♭の音に全てナチュラルが付き白鍵だけを弾くので、最初はハ長調に転調したのかな?と思いました。
しかしどうしても主音がハ音(階名:ド)には聴こえず、しばらく楽譜とにらめっこしていたら、リディア旋法(階名:ファソラシドレミファ)だと気づいたのです。
これはなかなか効果的で、ヴェルクマイスターも美しく鳴るため、弾いていて一番気持ち良かった箇所です。
また、平均律にした時に一番崩れる(笑)のもここでした。

ヴァンドールの作品は、このプレリュード集以外のものもたくさん弾いてまして、彼は旋法が大好き!なのが良く分かります。
ちょっと変わった雰囲気だなあ…と感じた部分を調べると、たいていその手口。
ただこの曲集は一応「24の長短調で」という触れ込みなので、旋法の使用は控えめのようですね。

変イ長調~ヴェルクマイスターで24調・第7回

ヴェルクマイスターで24調シリーズ(詳細)、今回は調号がフラット4つの変イ長調です。

◆メロディ・ボバー/「夏の印象」(臨時記号なし)


◆ロバート・D・ヴァンドール/ プレリュード 第13番・変イ長調(転調:ホ長調など)

★御存知、バッハ「平均律クラヴィーア曲集・第1巻」変イ長調プレリュードのパロディ!


ヴェルクマイスターの変イ長調は、主要な長三度が全て平均律よりも劣化しており、ほぼ裏領域での演奏になります。
しかしその一方で純正五度が多いため、クッキリした透明度の高い響きが特徴。
ヴェルクマイスターが「合う」かどうかは、曲の書法しだい…になるでしょう。

「夏の印象」は、「右手旋律+左手分散和音」で書かれているメイン主題はまあ良いんですけど、和音が多い中間部分、特に42秒過ぎで長三和音をガ~ン♪と弾く部分が、ど~にも悪いですね。
ハズれてるのがハッキリ分かります…山場に向かう大事なところなのに。
これが7や9の和音だとか、不協和音程が入ってるならアラ隠しになるんですけど、まともな長三和音に加えて耳が敏感な中音域、音律の弱点が直接攻撃された感じです。
全体的に澄んだ響きの中、よけいに目立つんですね。

しかしまあこの曲は臨時記号もないし、曲の書法や和声進行、展開がごくありきたりで、音律のテスト用には向いてます。
ヴェルクマイスターでの変イ長調の弱点が正直に出た、ということでしょう。
ボバーの全調曲集《In All Keys》には、音楽的には大して面白くなくとも、テスト用に使える曲がけっこう多いです。

一方、ヴァンドールのプレリュードは音律の弱点が気にならないどころか、ヴェルクマイスターのほぼ裏領域を弾く楽しさが味わえました。
明るく澄んだ響きがモダンな曲調とベストマッチですね。
意表をつく突然のホ長調への転調(同じ旋律なのに黒鍵と白鍵がほぼ逆になる)や、そこから変イ長調に帰る不思議なツナギ部分、いずれも快調♪
実はこの曲、D-Aにウルフを置いたピタゴラス律でもバッチリなんですよ。
演奏はこちら
つまり長三度が悪くてもほとんど影響ないんです!

サンプルの2曲は現役作曲家による作品ですから、どちらも平均律のピアノで作曲されてると思われます。
もともと長三度が大きくハズレてる平均律、それに最適化して書かれてる作品なら、ヴェルクマイスタ-など不等分律の裏やピタゴラス律(ウルフに抵触しなければ)で演奏しても、そんなに「悪くない」はずです。
しかし「夏の印象」のような曲は平均律でもイマイチ、つまり当該作曲家の耳が音程や楽器の響きに対して鈍感?な可能性があると考えられます。
強弱や音の置き方などを工夫すれば、広すぎる長三度が目立たないようにする、むしろそれを利用した「平均律ならでは」の作品を書くことだって、いくらでもできるんですけどね…?

変イ長調と同じくヴェルクマイスターで「ほぼ裏」の嬰ヘ長調でも、ボバーとヴァンドールの曲を試しましたが、前者は中間部分で和音のハズレが目立った一方、後者は広い長三度がモチーフに明るい伸びやかさを与えている印象で、演奏していても楽しかったです。
平均律で作曲された曲を古典調律で弾いてみると、作曲家の耳の程度がわかる!?…なんてことになるかもしれません。

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