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音の少ない曲でピタゴラス律を使ってみる

ピアノを再開してから、現代アメリカの「教育作品」にハマっています。
これはピアノを習い始めた人が、いわゆる大作曲家の名曲(難易度的に中級後半~上級レベル)に手を出せるようになるまでの間、その予備練習となるような教育的配慮のもとに書かれた小品を指します。
日本でもピアノ学習者に大人気のギロックはその先駆的作曲家で、彼は1993年に亡くなりましたが、アメリカにはまだまだそのような人達が大勢いて、ちょっと粗製乱造気味では?と思うくらい膨大な数の教育作品が出版されています。
(それらのうち日本で紹介されているのは、ごくわずかでしかありません)

楽譜を買いあさって色々と弾いてみると、別にそのつもりで曲を選んでるわけじゃなくても、電子ピアノにプリセットされているバリバリの(笑)古典調律が似合うものが結構見つかります。
今回は使われている音が少ない曲に注目してみました。
まずはジーナイン・イェーガーの「Jade Garden」(翡翠色の庭)、楽譜はこちらで購入できます(サンプルで譜面が一部見れます)。



この曲はフラットが6つも付く変ト長調で、動画最後の五度圏図で緑色の6つの音しか使っていません。
階名で言うと、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラだけで「シ」が無いんですね。
右手は全て黒鍵、左手も2度変ハ音(=ロ音)が出てくる以外は全て黒鍵を弾きます。

空5度がたくさん使用されている一方、長三度が重要になる部分はほとんど無いので、ウルフを関係ない場所に置いたピタゴラス律にしてみました。
平均律よりもピアノの響きが硬質&透明になり、「ウォーターカラー・インプレッションズ」というこの曲が含まれる作品集の趣旨にも合うと思います。
ピタゴラス律では、主音を嬰ヘ音に指定するとD-Aにウルフが来ます(電子ピアノのメーカーや機種によって違うかもしれませんが)。

しかし音が6つで驚いてはいけません、たった5つ…の曲がありました。
今度は嬰ヘ長調 ─── 変ト長調の異名同音調なので、さっきと似たようなものですけど。
ではキャサリン・ロリンが古今の名画からインスピレーションを得たカラー図版付き曲集「Museum Masterpieces Book 3」から、ゴッホの「オーヴェルのオワーズ川の川岸」をどうぞ。



さざ波立つ川面に陽光がきらめく様子を描写したのでしょう、これもピタゴラス律がピッタリで、水の透明度がグッと増す感じです。
嬰ヘ長調で音が5つとなれば────そうです、こちらはもう完全に黒鍵しか弾きません
最初から5音で作曲しようと計画し、そのために嬰ヘ長調にしたのだと推測されます(その方が弾きやすい)。
階名では何と!日本のヨナ抜き音階と同じド・レ・ミ・ソ・ラになり、そう言われてみるとどことなく和風にも聴こえる、不思議な「ナンチャッテ印象派」曲ですね。

どちらの曲も平均律のピアノで作曲されてるはずですが、楽譜に音律が指定されているわけではないし、曲を適切に解釈した上で狙った効果が出せるなら、古典調律を使うのも大いにアリだと思います。
そもそも純正音程が多く鳴っていると、弾いていて気持ちが良い ─── 練習が進むんですよ。
簡単に音律変更できる電子ピアノの長所、大いに利用しましょう!
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ヴェルクマイスターで C.P.E.バッハ「カロライン」

電子ピアノのフォルテピアノ音に相応しい曲…ということで、エマヌエル・バッハの「カロライン」を弾いてみました。
フランス・バロックにもよくあった、人物のポートレイト小品です。
3種類あるフォルテピアノ音のうち、一番柔らかく曇っている「メロウ」が曲のイメージにピッタリだったのでそれを使い、アンビエンスも多目にかけています。
音律はヴェルクマイスター、ピッチも現代より少し下げて、A=432Hz(←数値に深い意味はありません)にしてみました。



手稿譜の見づらいものしかIMSLPになかったので、楽譜付きにしませんでしたが、こちらの動画で楽譜が見れます
(私が使ったヤマハ・ミュージックメディア「バロック小品集2」の楽譜とは、装飾音やフレージング等がだいぶ違いますが)

この曲はイ短調で、当初はキルンベルガー(第3法)で練習していました。
試しにヴェルクマイスターにしてみたところ、A-Eの五度が狭いキルンベルガーよりも、冒頭などがスッキリした響きだったので、変更しました。
A-Eが純正なヴェルクマイスターは、キルンベルガー系音律が不得手なイ短調・イ長調が割と良いんですよね。
ただ短調なので、あえて狭い五度の曇った響きを選択するのもアリかと思います。
(ハ長調に転調する部分と、より対比をつけることもできる)
いずれにせよ、一般的な不等分律で演奏すれば概ね良好な曲ではないでしょうか。

しかし楽譜をよく見ると、Dis型ミーントーンなら使われている音が全て揃うので、ミーントーンでも音源を作ってみました。



大きな破綻はないですが、ヴェルクマイスターと比べると時折ハマりの悪い音程があります。
特に一番最後、終止音の前に長い音価で鳴る導音の嬰ト音が低い…
ヴァージナル曲や初期バロックの鍵盤曲だと、低い導音が曲調とマッチして古風な雰囲気を醸し出し、ミーントーン独特の世界が味わえるのですが、この曲の場合はあまり似つかわしいとはいえないようです。
きっとこの曲はもはやミーントーンではない時代の産物なのでしょうね。

電子ピアノでなんちゃってチェンバロ&フォルテピアノ

使っているローランドの電子ピアノHP506GPは、グランドピアノ音15種、アップライト3種の他に、フォルテピアノやチェンバロの音色も出せるので、それぞれ相応しい古典調律と合わせて弾いてみました。

まずはチェンバロ(8フィートのみ)とミーントーンで、バッハの2声インヴェンション1番↓



チェンバロ音はアンビエンス(空間残響)をたっぷりかけると、天井が高いお城の大広間で演奏しているような響きになり、気分はすっかりバロック時代のヨーロッパです(笑)!
特にミーントーンにすると甘美な残響にうっとり…で、もう指が止まりません。
弾き終わるともう1回弾くことしか考えないですね~!
ピアノ音にアンビエンスをかけ過ぎるとカラオケのエコーみたいになり、下手に弾いても誤魔化されて練習には不適と思いますが、チェンバロ音なら多めに使った方が良い演奏ができると思います。

この他に「8フィート+4フィート」もあり、さらにきらびやかな音になります。
ローランドは電子チェンバロも作っているので、そのリソースも投入しているのでしょうか、チェンバロ音は「サウンドコレクション」という、オマケ?の音色グループから呼び出すのですが、それにしてはリアルな音で感心しました。
(本物の楽器からサンプリングしてるものと思われます)
なおチェンバロ音にすると自動的にキータッチが「固定」になり、強弱をつけることはできません。

次はフォルテピアノとキルンベルガー第3法で、クレメンティのソナチネ ハ長調 作品36-1(全楽章)をどうぞ。



フォルテピアノは「コンサート」「メロウ」「ブライト」と3グループあるピアノ音色の最後に1つずつ用意されています。
今回は「コンサート」のフォルテピアノ音で弾いてみました。
(再生環境により、音がかなり違って聴こえます)

これは微妙というか何というか…(^ ^;)
チェンバロ音と比べると、弾いていてもどこか作り物めいた音だなあという印象です。
もっとも、一口にフォルテピアノといっても時代や製造者により大きな違いがあり、私も生ではほとんど聴いたことがなく録音でしか知らないんですけど。

そしてこのフォルテピアノ音は、タッチの強弱による音色の変化が普通のピアノ音よりずっと大きく、使いこなすのがすごく難しい!
ピアノ音で練習していて大体仕上がったから、ちょっとフォルテピアノも試してみよう…なんて弾くと、音階はムラになるは、和音が唐突にビーン!と鳴るは、あっちこっちでガタガタになります。
ですからこのソナチネも昔良く弾いてた曲ですが、今回フォルテピアノ音でかなり練習しました。

鳴り方のクセが分かってくると、逆にそれを利用してフォルテピアノ音ならではの演奏効果が出せるので、難しいけれど面白いとも言えます。
特に第2楽章は以前アップライトピアノで弾いていた時より、ずっと表現に工夫のし甲斐がありました。
なお今回はキルンベルガーにしてみましたが、少なくともこのソナチネでは平均律やヴェルクマイスターと較べて格段に良い…という印象はなかったです。
フォルテピアノ音はチェンバロ音よりも、音律による違いが分かりにくい感じですね。

【注】HP506GPの「GP」はローランドと島村楽器のコラボ・モデルの記号で、「GP」が付かない HP506 とは搭載されている音色やそのグループ分けが異なります。

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