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修正ミーントーンによるバッハ演奏会は可能か?

修正ミーントーンによるイギリス組曲第四番(ヘ長調)の、プレリュードです。
記事を読みながらBGMにどうぞ↓↓↓



ウルフを四分割した修正ミーントーンでバッハのチェンバロ曲を色々試していますが、通常型か♭型のどちらかで楽器を調律して、一回のリサイタル分(正味1時間半~2時間)のプログラムが組めるか考えてみます。



以前にも書きましたが、「通常型」ではこう↓↓↓なので ────

○ ⇒ 合格!(とってもキレイ&人前で演奏する時にも十分使える!)
▲ ⇒ 可 (まずまず~まあまあ)
× ⇒ ちと無理あるな (不良音程が目立つ&不自然に歪む&聴きづらい etc.)

ゴルトベルク変奏曲(ト長調)・・○
イタリア協奏曲(ヘ長調)・・○   半音階的幻想曲とフーガ(ニ短調)・・○

【フランス組曲】 1番二短調・・○   2番ハ短調・・▲   3番ロ短調・・▲
4番変ホ長調・・▲   5番ト長調・・○   6番ホ長調・・×

【イギリス組曲】 1番イ長調・・×   2番イ短調・・○   3番ト短調・・▲
4番ヘ長調・・○   5番ホ短調・・○   6番二短調・・○

【パルティータ】 1番変ロ長調・・▲   2番ハ短調・・▲   3番イ短調・・○
4番二長調・・▲   5番ト長調・・○   6番ホ短調・・○

フランス風序曲(パルティータ)ロ短調・・×

【トッカータ】 BWV910(嬰へ短調)・・×   BWV911(ハ短調)・・▲
BWV912(ニ長調)・・×   BWV913(ニ短調)・・▲   BVW914(ホ短調)・・×
BWV915(ト短調)・・▲   BWV916(ト長調)・・▲

○印の付いた曲だけで十分2時間以上あるので、ちゃんとプログラムが組めますね。(笑)
1つくらい▲の曲を入れるのも、対比がついていいかもしれませんし。
で、「♭型にすると▲印の♭系の曲が、概ね○になる」のですが、実は通常型で○のヘ長調とニ短調の曲はほとんど、♭型でもやはり○なのです。
(どちらがいいかは好みの問題・・・という感じ)
動画の音源は、♭型で演奏したイギリス組曲4番ですが、抜群の美しさですよね。

ここで、♭型で○の曲をまとめてみると ────
イタリア協奏曲、半音階的幻想曲とフーガ、フランス組曲1・2・4番、イギリス組曲3・4・6番、パルティータ1・2番、トッカータBWV911・BWV915(BWV913はまだ▲かも?)
↑↑↑こちらも通常型に負けない、充実したラインナップではないですか!

つまりちょっと音律に配慮して選曲すれば、修正ミーントーンによる「オール・バッハ・プログラム」は十分可能・・・というわけです。
(絶対ヴァロッティなんかより良いですよ♪)
アンコールには、「平均律~」や「インヴェンション~」から、音律に合った曲を用意しておけばカンペキですね!

ところで、「#系の曲で▲や×のはどうするんだ?」とツッコまれそうですが ───
もちろん#系も「プチ最適化」音律を考えて試してみました。
しかし、こちらは少々問題があったんですね・・・(次回に続く)
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プチ最適化音律で変ホ長調とハ短調を演奏してみる

(前回に続き)ウルフを四分割する位置をF#~B♭にして、♭系の調にプチ最適化した修正ミーントーンで、今度はバッハの変ホ長調とハ短調(つまり♭3つ)の曲を演奏してみました。

フランス組曲第四番・アルマンド↓↓↓ (繰り返し省略)



★ウイーン原典版で打ち込んだ後で、動画に使える旧バッハ全集版を見たら、音がかなり違っていたので楽譜なしです・・・すみません。
(フランス組曲はバッハ自身が何度も手を入れ、伝承している多くの手稿譜の異同が大きいので、版により音や装飾音にかなり違いがあります ─── 新バッハ全集では、あえて「決定稿」を作らずに、二種の稿を併記しているそうです)

パルティータ第二番・シンフォニア↓↓↓



この音律にとって♭3つの調は、「適」と「不適」の中間、まあビミョー(笑)な線なので、どちらも少しクセを感じますが、それが古典調律らしいと言えるところでもあります。
変ホ長調は主和音の五度(E♭-B♭)が純正より約5セント広く、しかもそれが冒頭いきなり出てしまいますが・・・



この広い五度は、ミーントーンの五度(純正より約5.5セント狭い)よりも不純度が耳につきますね。
(少なくとも私はそうです ─── 逆の人、どっちも気になる&ならない人、色々かと思いますが)
ただ、「合ってないのは分かるけど、だからといって興をそがれるほどでもない、この程度?でガタガタ言ってたら鍵盤音楽なんか聴いてられない」のも事実なので(笑)、部分的なことは横に置いた全体の印象としては、この音律で中々いい雰囲気に聴こえてると思います。
後半、想定外?のG♭音も、ちょうどいい音程でキマッていますし。

一方ハ短調は、C-E♭やF-A♭の短三度が狭いので、のほほんムードだった変ホ長調から一転、いかにも短調らしい暗さが印象的です。
シンフォニア冒頭の「Grave Adagio」は、純正からかなりハズれた和音も多いため、響きとしては厳しいですが、キレイに響く調と比べてこれがハ短調の個性だと見てあげましょう♪
(「プチ」最適化にとどめたのは、♭系の調の間でも響きに「差」があるべきと思ったからなので)
中間のAndanteでは、上声部に所々出てくるD♭音が(D♭音としてはかなり低いのに)、絶妙な音程で決まっていて、それがAllegro前のカデンツ風の部分で突如としてC#となって登場するのが、音律的にはこのシンフォニアのハイライトです。
(ここでコケたら話にならない)

このシンフォニアを打ち込んでいて、ふと同じハ短調のベートーヴェン「悲愴」第一楽章を思い出しました。
冒頭Graveで、付点リズムを効果的に使った重厚な和音が良く似ています。
パルティータ6曲は、バッハが生前「クラヴィーア練習曲集・第一部」として出版しましたが、愛好家の一般的レベルに比して技巧的に難しすぎたためか、楽譜はあまり売れなかったそうです。
(従って、重版につぐ重版で当時広く普及した・・・わけではない)
むしろ教育目的?で重宝された「平均律クラヴィーア曲集」の方が、出版はされなくても筆写譜の形で広まり、ベートーヴェンもこれで勉強したと言われています。
(師ネーフェが、「平均律~」の筆写譜を持っていた)
さて「パルティータ」はどうだったのでしょうかね????

♭系向きにプチ最適化した修正ミーントーン

前回の記事で、C#~Fでウルフを四分割した修正ミーントーンで「▲」(可)判定だった、バッハのパルティータ第1番(変ロ長調)の前奏曲です。↓↓↓



これだけ聴いてるぶんには「そんなに悪くない」ですが、こちらと比べると・・・↓↓↓



一番目の方は、何となく響きがガシャガシャしていませんか?
二番目の方が、全体にしっとり落ち着いた感じで、和音が美しく溶け合っています。
何が違うかというと、こういうことですね。↓↓↓



以前のC#~Fでウルフを分割していた修正ミーントーンを「通常型」とすると、分割の位置を時計と逆回りに1つずらしてF#~B♭にしてみたのが、今回(二番目の方)の♭型です。
このようにすると♭系の調では、純正あるいは良好な長三度が鳴る頻度が通常型よりも多くなるので、響きが美しくなります。
何しろこの修正ミーントーンは純正五度が1つも無く、純正長三度をメインとした三度とそれを転回した六度音程だけがとりえ(笑)のため、広い五度領域を挟む音程が曲中頻出すると、急に響きが劣化してしまうんですね。
その対策として、音律の構成はそのままに、ちょっと「回して」みたわけです。

この♭型にすると、前回の記事で「▲」が付いていた♭系の作品が、概ね「○」になります
(中にはトッカータ二短調のように、「まだ▲かも?」なのもありますが)
ただし、五度圏図では通常型を「1つ回しただけ」なこの♭型、音は4つも違うので、そう簡単に通常型との間を行ったり来たり・・・はできません。
♭型は C#・G#・E♭・B♭の4音(上図で緑の★が付いている音)が全て、通常型より約10セント高くなっています。
つまりいくつかの異名音が、♭寄りにシフトしているので、♭系の調に有利になるのですね。

バッハ時代の鍵盤音楽は、修正ミーントーンから不等分律への過渡期にあり、その結果生じる「調性感」(調によって異なる響き)が重要視されていました。
この過渡期の音律は非常に多くの種類があるので、どれを使うかによって例えば同じ変ロ長調でも長三度や五度の音程が違い、一様ではないことになります。
ただよほど特殊な音律でもない限り、五度圏図の右側を中心とした領域は長三度を優先して五度が狭く、反対側はウルフの名残で広い五度が残っているか又は純正五度が並んでいる(従って長三度は純正よりかなり広い)のは共通しています。
なのでそのパターンを踏まえた上で、演奏したい曲に「プチ最適化」した音律を使えば、作曲家の意図を大きく外れることなく、しかも結構キレイに響く・・・が可能かと思います。

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