プチ最適化音律で変ホ長調とハ短調を演奏してみる
(前回に続き)ウルフを四分割する位置をF#~B♭にして、♭系の調にプチ最適化した修正ミーントーンで、今度はバッハの変ホ長調とハ短調(つまり♭3つ)の曲を演奏してみました。
フランス組曲第四番・アルマンド↓↓↓ (繰り返し省略)
★ウイーン原典版で打ち込んだ後で、動画に使える旧バッハ全集版を見たら、音がかなり違っていたので楽譜なしです・・・すみません。
(フランス組曲はバッハ自身が何度も手を入れ、伝承している多くの手稿譜の異同が大きいので、版により音や装飾音にかなり違いがあります ─── 新バッハ全集では、あえて「決定稿」を作らずに、二種の稿を併記しているそうです)
パルティータ第二番・シンフォニア↓↓↓
この音律にとって♭3つの調は、「適」と「不適」の中間、まあビミョー(笑)な線なので、どちらも少しクセを感じますが、それが古典調律らしいと言えるところでもあります。
変ホ長調は主和音の五度(E♭-B♭)が純正より約5セント広く、しかもそれが冒頭いきなり出てしまいますが・・・
この広い五度は、ミーントーンの五度(純正より約5.5セント狭い)よりも不純度が耳につきますね。
(少なくとも私はそうです ─── 逆の人、どっちも気になる&ならない人、色々かと思いますが)
ただ、「合ってないのは分かるけど、だからといって興をそがれるほどでもない、この程度?でガタガタ言ってたら鍵盤音楽なんか聴いてられない」のも事実なので(笑)、部分的なことは横に置いた全体の印象としては、この音律で中々いい雰囲気に聴こえてると思います。
後半、想定外?のG♭音も、ちょうどいい音程でキマッていますし。
一方ハ短調は、C-E♭やF-A♭の短三度が狭いので、のほほんムードだった変ホ長調から一転、いかにも短調らしい暗さが印象的です。
シンフォニア冒頭の「Grave Adagio」は、純正からかなりハズれた和音も多いため、響きとしては厳しいですが、キレイに響く調と比べてこれがハ短調の個性だと見てあげましょう♪
(「プチ」最適化にとどめたのは、♭系の調の間でも響きに「差」があるべきと思ったからなので)
中間のAndanteでは、上声部に所々出てくるD♭音が(D♭音としてはかなり低いのに)、絶妙な音程で決まっていて、それがAllegro前のカデンツ風の部分で突如としてC#となって登場するのが、音律的にはこのシンフォニアのハイライトです。
(ここでコケたら話にならない)
このシンフォニアを打ち込んでいて、ふと同じハ短調のベートーヴェン「悲愴」第一楽章を思い出しました。
冒頭Graveで、付点リズムを効果的に使った重厚な和音が良く似ています。
パルティータ6曲は、バッハが生前「クラヴィーア練習曲集・第一部」として出版しましたが、愛好家の一般的レベルに比して技巧的に難しすぎたためか、楽譜はあまり売れなかったそうです。
(従って、重版につぐ重版で当時広く普及した・・・わけではない)
むしろ教育目的?で重宝された「平均律クラヴィーア曲集」の方が、出版はされなくても筆写譜の形で広まり、ベートーヴェンもこれで勉強したと言われています。
(師ネーフェが、「平均律~」の筆写譜を持っていた)
さて「パルティータ」はどうだったのでしょうかね????
フランス組曲第四番・アルマンド↓↓↓ (繰り返し省略)
★ウイーン原典版で打ち込んだ後で、動画に使える旧バッハ全集版を見たら、音がかなり違っていたので楽譜なしです・・・すみません。
(フランス組曲はバッハ自身が何度も手を入れ、伝承している多くの手稿譜の異同が大きいので、版により音や装飾音にかなり違いがあります ─── 新バッハ全集では、あえて「決定稿」を作らずに、二種の稿を併記しているそうです)
パルティータ第二番・シンフォニア↓↓↓
この音律にとって♭3つの調は、「適」と「不適」の中間、まあビミョー(笑)な線なので、どちらも少しクセを感じますが、それが古典調律らしいと言えるところでもあります。
変ホ長調は主和音の五度(E♭-B♭)が純正より約5セント広く、しかもそれが冒頭いきなり出てしまいますが・・・
この広い五度は、ミーントーンの五度(純正より約5.5セント狭い)よりも不純度が耳につきますね。
(少なくとも私はそうです ─── 逆の人、どっちも気になる&ならない人、色々かと思いますが)
ただ、「合ってないのは分かるけど、だからといって興をそがれるほどでもない、この程度?でガタガタ言ってたら鍵盤音楽なんか聴いてられない」のも事実なので(笑)、部分的なことは横に置いた全体の印象としては、この音律で中々いい雰囲気に聴こえてると思います。
後半、想定外?のG♭音も、ちょうどいい音程でキマッていますし。
一方ハ短調は、C-E♭やF-A♭の短三度が狭いので、のほほんムードだった変ホ長調から一転、いかにも短調らしい暗さが印象的です。
シンフォニア冒頭の「Grave Adagio」は、純正からかなりハズれた和音も多いため、響きとしては厳しいですが、キレイに響く調と比べてこれがハ短調の個性だと見てあげましょう♪
(「プチ」最適化にとどめたのは、♭系の調の間でも響きに「差」があるべきと思ったからなので)
中間のAndanteでは、上声部に所々出てくるD♭音が(D♭音としてはかなり低いのに)、絶妙な音程で決まっていて、それがAllegro前のカデンツ風の部分で突如としてC#となって登場するのが、音律的にはこのシンフォニアのハイライトです。
(ここでコケたら話にならない)
このシンフォニアを打ち込んでいて、ふと同じハ短調のベートーヴェン「悲愴」第一楽章を思い出しました。
冒頭Graveで、付点リズムを効果的に使った重厚な和音が良く似ています。
パルティータ6曲は、バッハが生前「クラヴィーア練習曲集・第一部」として出版しましたが、愛好家の一般的レベルに比して技巧的に難しすぎたためか、楽譜はあまり売れなかったそうです。
(従って、重版につぐ重版で当時広く普及した・・・わけではない)
むしろ教育目的?で重宝された「平均律クラヴィーア曲集」の方が、出版はされなくても筆写譜の形で広まり、ベートーヴェンもこれで勉強したと言われています。
(師ネーフェが、「平均律~」の筆写譜を持っていた)
さて「パルティータ」はどうだったのでしょうかね????
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短調で締まる
短調で締まる感じですね。
♭三つあたりが組曲系では最果ての調なんですね。もちろん「平均律~」ではマダマダなんでしょうが。
総じて私の好みではバッハは短調系なのですが,まさしく,長調系は「のほほん」とした感じで,短調系の方が自分のバッハのイメージに近いように思います。短調になってからは全く違和感かんじられません。特にハ短調というのは,バッハもベートーベンも何か思い入れがあるのでしょうかね。
♭三つあたりが組曲系では最果ての調なんですね。もちろん「平均律~」ではマダマダなんでしょうが。
総じて私の好みではバッハは短調系なのですが,まさしく,長調系は「のほほん」とした感じで,短調系の方が自分のバッハのイメージに近いように思います。短調になってからは全く違和感かんじられません。特にハ短調というのは,バッハもベートーベンも何か思い入れがあるのでしょうかね。
♭は3つまで#は4つまで
- REIKO
- 2012/08/07(Tue)22:00:29
- 編集
Enriqueさん、
>♭三つあたりが組曲系では最果ての調なんですね
そうですね、♭は3つまで、#は4つまで(フランス組曲6番がホ長調)です。
BWV823がヘ短調の組曲ですが、これは断片のみで、しかも偽作とされています。
ただ#系の方、ロ短調は#が2つでしかありませんが、和声的短音階でA#音を使うし、属調転調して嬰ヘ短調になればE#も出るので、古典調律では「厳しい」調となります。
「フランス風序曲(パルティータ)ロ短調」は、いずれ記事として取り上げますね。
>短調系の方が自分のバッハのイメージに近いように思います
そう言われてみると、私もそうですね・・・そもそもバッハとの最初の出会いは、「小フーガト短調」と「トッカータとフーガニ短調」ですし、中学生の頃に父が買ってきたレコードで「チェンバロ協奏曲第1番ニ短調」を初めて聴いた時のショックは、今でも忘れられません。
(イスラエルのハイファ交響楽団と、やはり中東のチェンバロ奏者だったという、今考えると何か可笑しいレコードでしたが。)
─── どれも短調曲ですね。(笑)
一方ブランデンブルク協奏曲は、何故か全6曲が長調で(どれも好きですけれど)、一曲くらい短調曲があれば対比がついて良いのに・・・と常々思っています。
>ハ短調
ベートーヴェンとハ短調の抜き差しならない?関係は良く言われることですが、バッハの場合はそれほどでもない気はしますね。
>♭三つあたりが組曲系では最果ての調なんですね
そうですね、♭は3つまで、#は4つまで(フランス組曲6番がホ長調)です。
BWV823がヘ短調の組曲ですが、これは断片のみで、しかも偽作とされています。
ただ#系の方、ロ短調は#が2つでしかありませんが、和声的短音階でA#音を使うし、属調転調して嬰ヘ短調になればE#も出るので、古典調律では「厳しい」調となります。
「フランス風序曲(パルティータ)ロ短調」は、いずれ記事として取り上げますね。
>短調系の方が自分のバッハのイメージに近いように思います
そう言われてみると、私もそうですね・・・そもそもバッハとの最初の出会いは、「小フーガト短調」と「トッカータとフーガニ短調」ですし、中学生の頃に父が買ってきたレコードで「チェンバロ協奏曲第1番ニ短調」を初めて聴いた時のショックは、今でも忘れられません。
(イスラエルのハイファ交響楽団と、やはり中東のチェンバロ奏者だったという、今考えると何か可笑しいレコードでしたが。)
─── どれも短調曲ですね。(笑)
一方ブランデンブルク協奏曲は、何故か全6曲が長調で(どれも好きですけれど)、一曲くらい短調曲があれば対比がついて良いのに・・・と常々思っています。
>ハ短調
ベートーヴェンとハ短調の抜き差しならない?関係は良く言われることですが、バッハの場合はそれほどでもない気はしますね。
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