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♭系向きにプチ最適化した修正ミーントーン

前回の記事で、C#~Fでウルフを四分割した修正ミーントーンで「▲」(可)判定だった、バッハのパルティータ第1番(変ロ長調)の前奏曲です。↓↓↓



これだけ聴いてるぶんには「そんなに悪くない」ですが、こちらと比べると・・・↓↓↓



一番目の方は、何となく響きがガシャガシャしていませんか?
二番目の方が、全体にしっとり落ち着いた感じで、和音が美しく溶け合っています。
何が違うかというと、こういうことですね。↓↓↓



以前のC#~Fでウルフを分割していた修正ミーントーンを「通常型」とすると、分割の位置を時計と逆回りに1つずらしてF#~B♭にしてみたのが、今回(二番目の方)の♭型です。
このようにすると♭系の調では、純正あるいは良好な長三度が鳴る頻度が通常型よりも多くなるので、響きが美しくなります。
何しろこの修正ミーントーンは純正五度が1つも無く、純正長三度をメインとした三度とそれを転回した六度音程だけがとりえ(笑)のため、広い五度領域を挟む音程が曲中頻出すると、急に響きが劣化してしまうんですね。
その対策として、音律の構成はそのままに、ちょっと「回して」みたわけです。

この♭型にすると、前回の記事で「▲」が付いていた♭系の作品が、概ね「○」になります
(中にはトッカータ二短調のように、「まだ▲かも?」なのもありますが)
ただし、五度圏図では通常型を「1つ回しただけ」なこの♭型、音は4つも違うので、そう簡単に通常型との間を行ったり来たり・・・はできません。
♭型は C#・G#・E♭・B♭の4音(上図で緑の★が付いている音)が全て、通常型より約10セント高くなっています。
つまりいくつかの異名音が、♭寄りにシフトしているので、♭系の調に有利になるのですね。

バッハ時代の鍵盤音楽は、修正ミーントーンから不等分律への過渡期にあり、その結果生じる「調性感」(調によって異なる響き)が重要視されていました。
この過渡期の音律は非常に多くの種類があるので、どれを使うかによって例えば同じ変ロ長調でも長三度や五度の音程が違い、一様ではないことになります。
ただよほど特殊な音律でもない限り、五度圏図の右側を中心とした領域は長三度を優先して五度が狭く、反対側はウルフの名残で広い五度が残っているか又は純正五度が並んでいる(従って長三度は純正よりかなり広い)のは共通しています。
なのでそのパターンを踏まえた上で、演奏したい曲に「プチ最適化」した音律を使えば、作曲家の意図を大きく外れることなく、しかも結構キレイに響く・・・が可能かと思います。
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回してネジが締まった?

そうですね,元のも悪くはないのですが,何となくネジがゆるんでいる感じがします。五度圏で一つ回しただけですがぴしっと締まった感じがします。
分割数が多いと調整する音も多いですが,調整量は少ないので慣れれば大した事はない?(長三度を聞ければちょいちょい?)でしょうか。

比べると違いが出ますね

  • REIKO
  • 2012/07/28(Sat)15:55:29
  • 編集
Eriqueさん、

>何となくネジがゆるんでいる感じ
そうなんですよ・・・「イマイチ締まらねえ」(笑)ですよね。
特に終わり数小節の部分、通常型では和音がバラけた感じに聴こえてしまいます。
(一番カッコいいところなのに)
終止和音も、長三度・五度共に純正でないので、うなりが出てますし。
♭型にすると、グンと締まりますね!

>分割数が多いと調整する音も多いですが
>慣れれば大した事はない?
この♭型と通常型の調律替えは、意外と面倒かもしれないです。
この「ウルフ四分割」の部分は、4つの広い五度を端から作っていくよりも、まず通常のミーントーンから「ウルフニ分割」して、それからそのそれぞれを二分割・・・で作るのが簡単だと思うので、一旦通常のミーントーンに戻してから作り直した方がいいかもしれないです。
でもこの「♭型」で良好に演奏できるバッハの曲はとても多く、むしろ(通常型よりも)こちらを「バッハ・デフォルト」にした方がいいかも?と感じています。
ただし#系の曲には向かないので、それはまた別の解決方法を考えていますが。

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