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平均律じゃないとダメな曲?

以前現代日本人作曲家のピアノ小品に古典調律を試したら、意外と上手く適合して興味深く思っていましたが、中にはど~しても平均律(またはそれに近い音律)じゃないとダメな曲も存在します。
え?それってどんな曲かって・・・例えばこういう曲です↓↓↓



矢代秋雄さんの1963年作品です ──── 拍子抜けするほど古典的で、初心者でも弾ける簡単な曲なのに(昔愛奏してました)、一体どこが古典調律にとって問題なのか?
困ったその1:最初から最後までイ長調である
困ったその2:旋律と和音の両方に美しさが要求される
困ったその3:テンポが遅く音の数が少ない(のでゴマカシがきかない)

イ長調はキルンベルガー音律の苦手な調で、第一法はボロボロ、二法はヨレヨレ、三法では大きく改善し旋律は良くなっても、要所で和音が汚く「合格」にはちょっと厳しい感じです。
私はイ長調が比較的得意なヴェルクマイスターに期待してましたが、A音が低く聴こえてしまい旋律がイマイチ。
(A音はヴェルクマイスターで相対的に最も低い音で、通常これは問題になるほどの低さではありませんが、この曲とは相性が悪いということです)

ミーントーンとピタゴラス律はどちらもウルフの位置決めはラクですが、前者は旋律が後者は和音が悪くてちょっと使えません。
ヤング、ヴァロッティは目立った不具合はなくとも、平均律より良いか?というと疑問で、専用音律でも作るのでなければ、平均律が一番「適合」する曲なんですね。

ところで、いつも適合した音律での音源ばかりだと、どれも違和感なく聴こえて「古典調律って平均律とどこが違うのか?」「音律の差なんてあまりに微妙で、実際はどーでもいいことなんじゃないか」と思う方もいるかもしれない?ので、今回はこの「おすまし」を例に、適合しない例を紹介します。

【キルンベルガー第一法】↓↓↓



この音律でベートーヴェンの「熱情」が演奏できるのに、信じられますか?この壊滅的(笑)な状況・・・
イ長調下属和音の五度D-Aが音律の狭い五度に当たる一方、A-C#(D♭)の長三度は広すぎるなど、音律の弱点に何度も抵触している結果です。
これが平均律と同じに聴こえる人はいませんね ──── それくらい音の割り振り方が違うのです。

【ミーントーン】↓↓↓



曲中 D#とE#があるので、それらの音が揃うようウルフを動かしたんですが ────
冒頭の、E⇒F#⇒G#⇒A (移動ドなら「ソ~ラシド」)と音階を上っていく旋律は、G#が低く感じてしまいます。
このG#はEに対して純正長三度で、その意味では「正しい音程」ですが、この旋律には純正よりも広い長三度の方が向いてるのです。
もし矢代さんのピアノがミーントーンだったら、この旋律は生まれなかったはず。
逆にミーントーンの時代には、それでも音痴にならないように曲が書かれていました。
つまり音律が違えば、出来上がる曲も違うのです!
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キルンベルガーIはボロボロということですので,どれどれとお気軽にPCのスピーカで聞いたところ,違いが分かりません。ありゃーとうとう耳がバカになったのかなと思ってイヤホンで聞き直しました。15,6秒あたりの和音の動きなど明らかでした。音の動き,和音の響きをちゃんと聞けばわかりますね。確かに平均律は全くくせのない鳴りです。ワタシこの曲知りませんでしたので,やはり自分で演奏して音が全部アタマに入っている人とそうでない人では聞き方に差がありますね。

頼りない鳴り方

  • REIKO
  • 2012/05/29(Tue)22:35:30
  • 編集
Enriqueさん、

>イヤホンで聞き直しました
あ、そうでしたか。(^ ^;)
冒頭はまあまあなので・・・でもだんだん酷くなって、中間部分のD-A和音の箇所は完全に音痴ピアノになってしまいますよね。
単に旋律や和音の「音程」だけでなく、全体に不安定なので響きが頼りなく、何ともみっともない感じです。
(ベートーヴェンではあんなに「しっかり」鳴るのに!)

>平均律は全くくせのない鳴りです
おっしゃる通り「上手くまとめました」(笑)という印象です。
気に入っている曲なので、古典調律で鳴らしたかったんですが・・・。
ミーントーンは、中間部分はかなり良いんですけど、肝心の主題部分がぎこちなく聴こえてしまい、残念です。

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