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古典調律の鬼門?「ロ短調」

バッハの「フランス風序曲」(パルティータロ短調)は、ガヴォットでロ短調⇒ニ長調の平行調転調、パスピエではロ短調⇒ロ長調(#5つ!)の同名転調をしています。
前回と同じ音律で、パスピエの方を鳴らしてみると・・・↓↓↓



ロ長調部分は長三度が相当広いですが、それなりに可愛く?聴こえていて、これはこれでアリかなあという印象です。
短調から長調に移った時のインパクトが、長三度が広いことでより強調されている感じ。
イギリス組曲五番のパスピエII(ホ長調)と同じパターンですね。
この部分は、#系の長三度が良くなるように最適化した音律だと、G#が低すぎるなどかえって不自然になります。

しかしロ短調部分は和音がかなりガシャガシャした響きで、お世辞にも「キレイ」とは言えません。
他にも長大な序曲や終曲の「エコー」など、和音が厚い楽章はどれも厳しい鳴り方です。
ロ短調は、調号こそ#二つしか付いてませんが、実はミーントーン系の古典調律にとっては、苦手な調なんですね。
なぜなら和声的短音階では、A ⇒ A#になるから。↓↓↓



音階の構成音がウルフ残存領域をまたぐので、終始そのアッチとコッチで音をやりとりしなければならず、それで響きが悪くなるのです。
今回使った音律は C#-G#-E♭(D#)の二箇所が広い五度(合わせて約+9セント)なので、まさにこの落とし穴?にハマッていることに。
この辺に広い五度が残っていない音律(ヴァロッティやヴェルクマイスターなど)にすれば、多少はこなれた響きになり、完全な平均律にすればさらにもう少し良く?なります。
(ただしそのぶん、調号の少ない組曲は「劣化する」わけですが)
しかしこのロ短調組曲は、どうやっても「美しく」鳴るようにはできません。
長時間の組曲を演奏する間、耳はかなり歪んだ響きにさらされることになります。

何でロ短調なんかで書いたかなあ・・・としばらく考えていましたが、「フランス風序曲」が「イタリア協奏曲」とセットで「クラヴィーア練習曲集・第二部」としてバッハ自身の手で出版されたことに思い当たった時に、その答えが分かりました。
「イタリア協奏曲」はヘ長調、ミーントーン系の音律に最も向いている、キレイに響く調です。
バッハはそれと正反対の調を、組曲に選んだのでは・・・?
そもそもこの二曲は、「イタリア風(の最新協奏様式)」と「フランス風(の古典的舞曲組曲)」、「長調」と「短調」という点でも、何から何まで対照的な組み合わせ。
「F」と「B」、主音だって五度圏で真向かいじゃないですか!

当時この楽譜を買って、チェンバロで弾いた人達の音律環境は色々だったでしょうが、よほど特殊な調律でない限り、美しいヘ長調と歪んだロ短調の対比を楽しみ、好みや気分に応じて弾き分けていたに違いありません。
今風の言葉で言えば「クラヴィーア練習曲集・第二部」は、真逆の二曲セットだったんですね♪
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泣きのミーントーンロ短調

ミーントーンのフレットのギターでロ短調曲を弾いてみたことがあります。
感触としては,ただ音痴というよりは,「事情を知っていれば許せる」ようなくるい方で,私には泣いているイメージに感じました。こちらのロ短調曲のミーントーン系演奏にも共通したものを感じます。「普段は上手な歌謡曲の歌手が授賞の感涙にむせびながら歌っていた」そんなイメージ(マコトに情緒的でスミマセン)。泣きの調が号泣に近くなる感じです。ですから,何らかの意図目的があってやるならばアリかと。Bachのミーントーン系演奏を評するのに大変不適切なコメントでした。

ロ短調とヘ短調

  • REIKO
  • 2012/10/20(Sat)13:26:02
  • 編集
Enriqueさん、

>「事情を知っていれば許せる」ようなくるい方
ああ、なるほど!
音律のジレンマがあらわになる、悲しい宿命を背負った調…ですものね。
バロック時代の調性感では、ロ短調やヘ短調が響きの悪い調として、普通には疎まれるが、時にそれを苦悩の表現などとして使うこともあったと言われていますが、そういう感覚も修正ミーントーン系音律の「事情」から出てきたのでしょうね。

なおフランス組曲3番ロ短調は、この音律で演奏しても「フランス風序曲」ほど聴きづらくなりません。
同6番ホ長調もギリギリの調選択ですが、その割にはまあまあですね。
「インヴェンション~」「平均律~」以外のバッハ作品では、「トッカータ嬰ヘ短調」BWV910が、歪むのを覚悟でこの音律で演奏するか、もう少し均すか…で迷うところです。
他のトッカータはこの音律でOKと感じます。

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