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修正ミーントーンでバッハ作品をテスト

バッハのフランス組曲の中でも人気の第五番、冒頭のアルマンドを C#~Fでウルフを四分割した修正ミーントーンで鳴らしてみました。(繰り返し省略)



たびたび出てくるD#音、それと異名音のE♭が曲の最後に想定外出現!しますが、音律のD#・E♭兼用音(二音のちょうど中間の高さ)が、それに上手く対処しています。
また、何度かある約5セント広い五度の同時打鍵も、純正でないことは聴いて分かるけれども、音楽的に興を削ぐほどの傷にはなってないかと。

さて、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンションとシンフォニア」の通し演奏にはちと厳しい・・・なる判定を下したこの修正ミーントーンで、バッハの組曲系チェンバロ作品を鳴らして適合度を採点すると、(もちろん私見ですが)以下のような結果になりました。

○ ⇒ 合格!(とってもキレイ&人前で演奏する時にも十分使える!)
▲ ⇒ 可 (まずまず~まあまあ)
× ⇒ ちと無理あるな (不良音程が目立つ&不自然に歪む&聴きづらい etc.)

【フランス組曲】 1番二短調・・○   2番ハ短調・・▲   3番ロ短調・・▲
4番変ホ長調・・▲   5番ト長調・・○   6番ホ長調・・×

【イギリス組曲】 1番イ長調・・×   2番イ短調・・○   3番ト短調・・▲
4番ヘ長調・・○   5番ホ短調・・○   6番二短調・・○

【パルティータ】 1番変ロ長調・・▲   2番ハ短調・・▲   3番イ短調・・○
4番二長調・・▲   5番ト長調・・○   6番ホ短調・・○

フランス風序曲(パルティータ)ロ短調・・×

大雑把に言って、調号なし~#・♭1個はとても良く、それ以上になると調号が増えるにつれ微妙になってくるわけで、その点は「インヴェンションとシンフォニア」と同様です。
しかし「フランス組曲」以外は各組曲冒頭に、前奏曲、序曲、シンフォニアなど様々な名称の舞曲ではない楽章が置かれていて、中にはかなり規模の大きいものもあるのに(例えばイギリス組曲6番の前奏曲は195小節もある)、その割に転調は控え目で、いくつかの不良長三度を抱えるこの音律でも、思いの外良く「合う」と感じました。
○が付いてる組曲は、ほんとに良いです!

しかし、▲や×の組曲もまだまだ多いことから、バッハの鍵盤曲・音律事情を探ってみると・・・
可能性1)ある程度、組曲ごとに最適化した音律だった
可能性2)もっと均した音律だった
可能性3)歪んだり汚くなっても「コレが調性感だッ!」と開き直っていた(爆)

・・・1、2はどちらもアリな気がしますが、3は仮にそういう面があったとしても、もう少し均した音律でないと厳しいと思います。

なお組曲系以外も調べてみると、こうなりました↓↓↓

イタリア協奏曲・・○   半音階的幻想曲とフーガ・・○
(以上2曲は、ウルフ三分割ミーントーンでもOKだったので、四分割でも問題なし)

【トッカータ】 BWV910(嬰へ短調)・・×   BWV911(ハ短調)・・▲
BWV912(ニ長調)・・×   BWV913(ニ短調)・・▲   BVW914(ホ短調)・・×
BWV915(ト短調)・・▲   BWV916(ト長調)・・▲
(トッカータは転調が激しく、この音律ではやや苦しい面が)

とにかくこの▲や×をどうにかしないとイケマセンね。(^ ^;)
色々試してるんですが・・・「最適化」は、上手く行くものとそうでないのがあるし、「均す」と(この場合はその均した音律で「全部弾く」のが筋と思うので)○印の曲が劣化しちゃうんですよね。
ほんとに悩ましいことです、音律ってのは ──── 続く♪
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「組曲ごと」に一票

組曲系を沢山試しておられるようで,すごいですね。
当然一つの組曲内は転調も控えめで一つの音律で通すでしょうが,組曲ごとの調は結構バラバラで,使用調性が少ないにも拘らず関連性を保っているようにも思われません。パルティータはある程度調性の関連性はある様ですが。
>「均す」と(この場合はその均した音律で「全部弾く」のが筋と思うので)○印の曲が劣化
とすればやはり,可能性1)で,均さないで組曲ごとの調律替えの可能性大ですか?現実問題として組曲一曲弾いたら,最適化した調律もずれてくるでしょうから,ついでに幾つかの音も調律替えとか。ヘンデルの様には??

ひょっとしてバッハは・・・

  • REIKO
  • 2012/07/22(Sun)13:39:31
  • 編集
Enriqueさん、

>組曲系を沢山試しておられるようで
バッハはMIDIがたくさん公開されているので、それをダウンロードしてきて音律変更して聴けばよく、調べるのはラクなんです。
この修正ミーントーンは、どんな音律で作曲されていたのかそのヒントを探る「テスト用」に調度良いですね。

>均さないで組曲ごとの調律替えの可能性大ですか
そうとも言い切れないんですね・・・例えばイギリス組曲第一番イ長調やパルティータ第四番ニ長調は、#系の調向きにした音律にすると、E#が高すぎる問題は改良されても、今度はG#が低すぎておかしくなるんですよ。
(つまりE-G#は純正より「広い」長三度が求められている)
これは、純正長三度の数が「かなり少ない」音律だった可能性を示唆しています・・・
イギリス組曲第一番の初期稿やトッカータのBWV913~916は、かなり初期の作品とされているので、もしかするとバッハは鍵盤曲(オルガン用は別として)の作曲に際し、かなり初期の段階から(「修正ミーントーン」のような音律ではなく)不等分律を使っていた可能性もあると思います。
響きの美しさ云々・・・よりも、作曲の自由度の方を優先すれば、不等分律に軍配が上がりますから。
ただ現実には、上にあげたたくさんの曲を一気に「連続演奏」することなどあり得ないし、チェンバロの調律はすぐに狂うので、実際の演奏や日々の練習では、「それなりに最適化」した方が利点が大きいと私も思っています。
「打ち込み」でも、響きが良い方が疲れないし幸せですし(笑)。
「それなりに最適化」は、次の記事で実例をあげてみますね。

トッカータの問題

このフランス組曲第5番のアルマンドはきれいですね。その一方で、ずっと若いときに作曲されたトッカータの方が、問題が多いのは興味深いですね。即興的な展開を主とするこれらの曲では、むしろ和音や旋律進行に引っ掛かりがあった方が良かったのかも知れません。
それにしても、このチェンバロの音源、なかなか良いですね。

もう少し均せば・・・

  • REIKO
  • 2012/07/24(Tue)16:20:09
  • 編集
ogawa_jさん、

>アルマンドはきれいですね
そうですね・・・この音律だと、音が滑らかに融け合って美しいので、打ち込みしていても楽しく疲れません。
一般的な不等分律だと、微妙に音がズレるので、面白くないんですよ。(笑)
音源のチェンバロの音は、自分ではあまり気に入ってないのですが(音の立ち上がりが鈍く減衰が遅いので、生ぬるく感じる)、音律が良いと結構聴けますね♪

>トッカータ
>即興的な展開を主とするこれらの曲
舞曲は、種類によってリズムパターンやテンポも概ね決まっているし、繰り返し記号を挟んだ二部形式となれば「ある一定の枠内でまとめる」必要が出てきますよね。
そうなると転調も想定内・・・となるのでしょう。
でもトッカータはこれらと逆を行く様式なので、破天荒な展開になるのだと思います。
曲想も組曲系と比べて攻撃的?な感じですし。
このウルフ四分割ミーントーンをもう少し均せば、(「平均律クラヴィーア曲集」を除いた)バッハのほとんどのチェンバロ曲が、「調性感付き」で良好に弾ける音律ができそうなので、今追及中です。
(いわばバッハの「普段使い」の音律ですね)
この場合トッカータは、組曲系よりも転調で響きが変化するのを意図的に狙い、それを表現効果としているのが感じ取れると思います。

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