忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

バッハの汎用音律を推測してみる

ウルフを等分割した広い五度4つと、残り8つが純正より約5.5セント狭い五度・・・の修正ミーントーン音律から、狭い五度をあと2つ減らしてバッハのチェンバロ曲(平均律クラヴィーア曲集は除く)に最適化した音律を考えてみます。
純正より約5.5セント狭い五度が6つになるので、-5.5×6=-33、-24-(-33)= 9 となり、およそ+9セントを適当な広い五度で分け合えばいいことになりますね。
これを6つの五度全体に「散らして」しまう・・・というのも少しナンなので、一部に純正五度を取り入れると、例えば次のような案が考えられます。



↑↑↑どちらも一長一短ありますが、両者はC#とE♭の高さが約2セント違うだけで、曲の中ではそんなに大きな差は出ませんでした。
それよりも重要なのは、こちら!↓↓↓



バッハに関しては、F~B にミーントーンの五度を配置した方が、結果が良いと感じるのです。
(色々と鳴らしてみて確かめました)
この配置は、白鍵の音程がミーントーンと同じになるんですね。
一般に「ラモーの音律」と言われているもの(解釈にはいくつかある)も、このタイプです。
ミーントーンで8つもあった純正長三度は、もうF-A、C-E、G-Bの3つしか残ってないので、修正ミーントーンというよりは不等分律に近いと言えるでしょう。

しかしこの「F~B配置」は#系に弱いのでは?というツッコミが来そうです。
理屈では全くその通りですが、実際にバッハの曲を鳴らしてみると、長三度が広いならば「それなりの」書き方をしているように思えます。
前回の記事で、#系の最適化音律なのにビミョー感漂っていた(笑)、イギリス組曲第1番イ長調のプレリュードを、最初の図の右側の音律で演奏してみました。



この音律の、音程的に不利な領域で音楽が展開している割には、上手くまとまって聴こえませんか?
純正長三度の出番はほとんど無いかわり、広めの長三度と明るくのどかな田園風の曲調が良く合っています。
もう一つ#の多いホ長調、フランス組曲第6番のサラバンドは・・・↓↓↓



テンポが遅く和音中心なので、フランス組曲全体の中で音律的には一番厳しい楽章です。
転調してロ長調になる箇所などは、実際かなりキツい響きになりますが、これこそ白鍵中心の調とは異なる調性感だ ─── と思って聴けば、そんなに不快な印象ではないです。
このフランス組曲第6番は、G・D・A・E・B・F#・C#・G#・D#・A#・E#・B#の12音しか使われてないので、理屈から言えばB#-Gにウルフを移動したミーントーンで弾けるはず。
しかし実際は、B#音が低すぎてコケる箇所がいくつかあり(サラバンド冒頭小節の二拍目など)、ミーントーンの五度ばかり並べた音律ではダメな音程が要求されていることがわかります。
純正より広い長三度があってこそ可能になる和音や旋律もあるということですね。
PR

♪この記事にコメントする♪

お名前
タイトル
URL(任意)
文字色
コメント
絵文字
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード

すべての道はローマに通ず?

ミーントーンから攻めても,均して行くと割とポピュラーなウェルテンペラメントに漸近するんですね。鍵盤楽器においてはやはり,白鍵系と黒鍵系というのが一つのくくりなんでしょうね。リュートやギターはまた少し異なるとは思いますが。

さらに減らすと…

  • REIKO
  • 2012/10/06(Sat)19:52:26
  • 編集
>ミーントーンから攻めても,均して行くと割とポピュラーなウェルテンペラメントに漸近
そうですね、ここからミーントーンの五度をもう1つ減らすと(WTCの表紙の唐草模様から導かれた)ジョバン音律になり、2つ減らせばキルンベルガー第三法ですね。
ジョバンではまだわずかに広い五度が残りますが、キルンベルガー第三法ではスキスマができるわけです。
C~F#までをミーントーンの五度にする配置は、シュニットガー音律の1つとして紹介されていることがあります。
(彼の音律はたくさんあります────製作したオルガンやそれに関する文献が残ってるのでしょう)
「白鍵がミーントーンと同じ」っていうのは、鍵盤楽器的にはおさまりがよくて良い印象ですね。

スポンサードリンク 

ブログ内検索

最新コメント♪

[02/10 REIKO]
[02/09 Enrique]
[08/08 REIKO]
[08/07 ベルカント]
[08/04 REIKO]

スポンサードリンク

中の人より

管理人名:REIKO
★リンクはご自由に★
どのページでも構いません

カウンター

バーコード