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ノクターン嬰ハ短調 遺作~ヴェルクマイスター

ショパンの遺作の中では、センチメンタルな曲調と弾きやすさで人気のあるノクターン(20番)嬰ハ短調 レント・コン・グラン・エスプレッシォーネを、古典調律の代名詞的存在のヴェルクマイスター(第一技法 第三番)でどうぞ。



★この曲はショパンの死後出版のため各種の版がありますが、使ったのはIMSLPのこちら・一番上の楽譜です。(全音のショパン ノクターン集と同じ)
合衆国ではまだパブリックドメインでなく、YouTubeにアップしていいか分からないので、楽譜付き動画にしませんでした。
8小節目・左手のD#(F#に替えることも多い)もそのまま演奏しています。

実はこの曲、平均律でも全く問題ないというか、非常に良いんですね。
平均律のモヤモヤが音の少なさをカバーして雰囲気があるし、コーダの18連符や32連符も霧がかかったようで神秘的です。

ショパンのノクターンは概して ────
1、平均律で演奏してもあまり問題は無く、むしろ夜想曲的なムードがあって良い
2、色々な古典調律を試しても、イマイチ決め手に欠けるような…
3、黒鍵が多い調でキルンベルガー第一法で弾けそうでも、想定外の転調や和音で不具合が出ることが多い
……なんですよ。

このノクターン嬰ハ短調もたった3ページの短い曲で、やや通俗的な旋律がタラタラ流れるだけ(笑)、シャープ4つならー法でイケるかな?と思ったらダメなんですね。
それはこの部分↓(1分02秒~の個所です)



二法なら気をつけて弾けばギリギリセーフ?ですが、続くイ長調に転調した個所で…↓



「pp」とはいえ、フレーズの大事な音なのに…二法だと狭い五度がふにょ~んと鳴ってしまいます。
ふにょ~ん…聴いている人には許せたとしても、演奏する立場だと情けない。
テンポが遅い上に音が少ないと、こういうところがシビアなんですね。

第三法でもイ長調の部分がイマイチ(キルンベルガー系はイ長調ダメだわ!)で、「古典調律ってほとんどA-Eの五度が狭いし…困ったなぁ、この曲は記事にするの止めよ」と諦めかけたら、あ~!忘れてました、A-Eが純正なあの音律を!
──── ということでヴェルクマイスターです。(笑)

実際の楽器では平均律よりも純正五度が多い分、楽器の響き自体が美しくなる利点がありますが、デジタル音源ではその差が微妙なので、抜群に良くなるわけではありません。
しかし他の古典調律と比べた場合、イ長調のハッとする明るさが印象的なこと、4つある狭い五度の使用が少なく、音律の欠点が目立たずに済むのが利点です。
★嬰ハ短調の和声的短音階ではB⇒B#なので、狭い五度B-F#はほとんど使われない
★狭い五度が目立つのは、キルンベルガー第一法でダメになる個所と同じD-Aくらい

ヴェルクマイスターは代表的なピタゴラス・コンマ四分割の音律ですが、狭く調整した五度のうち1つが五度圏上で離れているので、(似ていると言われる)キルンベルガー第三法よりも平均律との偏差が少なくなっています。
古い音律の割には、古典調律の中では現代ピアノへの使用が多いのも、平均律に最適化されている楽器と相性が良いからかもしれません。

この曲の作曲音律を推定するのは難しいですが、ヴェルクマイスターが「合う」ことからしても、ある程度均された音律だったことは確かなようです。
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ヴェルクマイスターも立派な古典音律の一種で,むしろ一般にはオールマイティー的古典音律の雄ですが,こちらでは忘れ去られ兼ねないスタンホープ(でしたっけ)並みの音律(笑)ですね。大雑把にはキルンベルガーIIIと似るのでしょうが,出発点が異なるのと結果的に僅かの違いで平均律的なのは面白いですね。
ショパンは音律の異なる楽器を使い分けたとのことでしたが,あるいは晩年にはヴェルクマイスターないしは平均律的な音律も試したということなのでしょうかね。

ヴェルクマイスターが「ベスト」の曲は少ない気が

  • REIKO
  • 2013/08/31(Sat)23:17:27
  • 編集
Enriqueさん、

>オールマイティー的古典音律の雄
平均律からの調律替えに無理がなく、大きな不具合も出にくいことから重宝されていると思われますが、キルンベルガー第三法同様、この音律が「ベスト」と思える曲は少ないですね。
他の古典調律がイマイチな時の、セーフティーネット(笑)みたいな感じです。
しかし17世紀の音律なので、バッハやモーツァルトの時代はともかく、19世紀のピアノに使われたことがあったのかは疑問に思ってますけど。

>あるいは晩年にはヴェルクマイスターないしは平均律的な音律も試したということなのでしょうかね

この曲は便宜的にノクターン20番とされていますが、遺稿から死後出版されたもので、作曲はショパンのポーランド時代、1830年なんですね。
ショパンが色々な音律で作曲していたとしても、「初期の頃は不等分⇒晩年はより平均律に近い」のような方向性はなく、音楽的要求や都合に合わせてあちこち行ったり来たりしていた、と私は推測しています。

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