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エチュード「黒鍵」をピタゴラス律で

ショパンのエチュード作品10の5(通称「黒鍵」)は、黒鍵の華やかなパッセージを弾く右手だけでなく、変ト長調という調性から全体に黒鍵の割合が非常に多い曲です。
いわゆる音律の裏専科的な作品の代表ですね。

転調や和声の面では単純なので、キルンベルガー第一法で弾いても、ウルフのD-Aにはカスリもせず、明るく冴えた響きが良好です。
しかし第一法では、変ト長調の主和音五度G♭-D♭(F#-C#)が純正ではなく、スキスマ分だけ狭くなっているのが、あんまり嬉しくありません。
(下の音律図参照)

この少し狭い五度のおかげで、白鍵領域に純正長三度ができてるわけですが、この曲ではそれをほとんど利用してないので、キルンベルガー第一法の代わりに、G♭-D♭を純正五度にしてD-Aを-24セントにした、ピタゴラス律で演奏してみました。





「brillante」(輝かしく)という指示にピッタリの印象ですね!
ピタゴラス律特有の、やや軽さを伴う開放的な響きが、この曲の性格と良く合っています。
(重みに欠けるので、深刻な内容の曲には向いてないと)
黒鍵のみ ──── つまり五音音階!の右手分散和音には多くの五度・四度が含まれ、それらがピタゴラス律では純正であることも、相性良しのポイントでしょう。
この曲は、ピタゴラス律のためにあるようなものかもしれません。

しかし問題も散見されます。

・主題冒頭などの、フォルテで弾く左手和音がトゲトゲしい
 ⇒長・短三度の音程が悪いため
 
・中間部クライマックス直前の重要なバス、B♭♭(=A音)がちと低い?↓



★A音はこの音律内で、相対的に最も低い←キルンベルガー第一法と同様
★キルンベルガー第二法にすれば、ちょうど良い感じ

・左手に旋律が移った時、和音の音程が悪いのが目立つ↓



以上、全部左手関連ですが、まあこの曲の主役は右手ということで、目(耳?)をつぶりました。
古典調律では「あれもこれも」と二兎を追わずに、捨てるものは捨てる覚悟も大切ですね。
この曲は平均律でも大きな不都合はありませんが、ピタゴラス律と比べて左手問題は多少緩和されるも、右手もどことなく曇るので、特徴のない響きになってしまいます。
個性的な曲だけに、それではもったいないです・・・。
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ピタゴラス律

 うーん、前回の大洋は「これはもぅメチャ合致!(驚)」と感じたのですが、それと比べると今回は全体的にイマイチな響きに感じられました。ただ、生ギターで実験した時に感じられた「変な緊張感」は無かったのでその点は良かったなと。

 小生、同じ和声楽器であっても、特に生ハープや生ギターなどの場合、ピタゴラス律(or不均等律での裏の調)では全体的に凄く「緊張感が高い」雰囲気になるように感じられ、(現代のストレス社会に生きる私としては)到底好きになれないのですが、生モダンピアノだとその緊張感が可成り緩和されるように感じられるので不思議に思っていたのですが、先日読んだ記事でこんなことが書いてありました。

 曰く、現代ピアノで12ETとの相性が良いのは、「1鍵盤(1ハンマー)で『3本』の弦を叩くからである」、つまり「1本でも2本でも不快だったが、いわば苦肉の策として3本にしたら良く(=誤魔化しが効くように)なった」旨が書いてあって、なるほどなぁと思いました(要するに、音程を若干ずらして音に膨らみを持たせるということでしょう。)。
 この3本弦同時鳴らしでの響き改良(いわば三本集まれば文殊の知恵?)は、ピタゴラス律の場合の緊張緩和現象にも当てはまるのかも知れないと改めて感じた次第です。さらには、そのようなモダンピアノの響きを電子音で模倣できてしまう現代の技術って凄いなぁとも感じる今時分(笑)。

音律の「裏」

  • REIKO
  • 2013/07/12(Fri)23:28:35
  • 編集
kotenさん、

>全体的にイマイチな響きに感じられました

音律の裏では、分散和音は良いのですが、同時打鍵は長・短三度が悪いせいか、刺々しい響きになります。
「緊張感が高い」ように感じるのも、多分そのせいではないでしょうか?
ただそういうサウンドが「向いている」曲もあると思うので、使い方次第ですね。

実はこの曲をミーントーンの大ウルフ回し(笑)で鳴らすと、冒頭の左手和音なんかすごく良くなるんですよ。
(音源にリバーブがかかっていますが、余韻が綺麗になるのですぐわかる)
ただミーントーンでは、どうしてもウルフをまたいでしまうので、途中でおかしくなります。
主要部分は変ト長調と変ニ長調という単純な転調しかしていないんですが、経過部でひっかかるんですね…残念!

初めまして。

  • Japolonaise
  • 2013/07/30(Tue)00:35:59
  • 編集
初めまして。
Japolonaiseと申します。

こちらの記事と直接、関係がなくて申し訳ないのですが、実は今、シューベルトのピアノソナタ Op,120を練習中です。その中の2楽章が、うちのピアノ(平均律で調律)で弾くと、透明感のない濁った響きになってしまいます。本来は和声の美しい曲の筈なんですが・・・

こちらの記事を拝読し、Reikoさんならこの曲の美しさを引き出すような音律を見つけていただけるのでは、と思い、コメントさし上げました。

お時間のある時でかまわないので、こちらの記事で取り上げていただけたらうれしいです。
他力本願ですみません。

今後の記事も楽しみにしております。


シューベルトと古典調律

  • REIKO
  • 2013/07/31(Wed)17:45:19
  • 編集
Japolonaiseさん、いらっしゃいませ♪コメントありがとうございます。

>シューベルトのピアノソナタ Op,120

IMSLPで楽譜と音源を確認しました。
このソナタはイ長調で、第二楽章はニ長調ですね。
シューベルトは「即興曲」や「楽興の時」を調べたことがあって、調号の多い曲を中心に、キルンベルガー第一法や第二法で非常に良いものがあります。
しかし不具合が出る曲もあるので、総合的には第三法あたりかな…などと考えていました。
ただソナタは長い曲が多いので、今のところ全く手付かずです。

一般に19世紀のピアノ曲はC-G-D-A-E-Bあたりの五度を少しずつ狭くして、他は純正五度────のような音律で演奏すれば、そんなにハズレはないと感じています。
(純正長三度はほとんど残っていないが、純正五度が多い分だけ平均律より楽器が綺麗に響き、不等分なので多少の調性感があるのが利点)
有名なヴェルクマイスターやキルンベルガー第三法もこの系統ですが、特に後者はニ長調・イ長調が和声的に苦手なんですよ。(五度が狭い上に長三度も悪い)
ですが第二楽章の書法を見ると、冒頭ニ長調部分では弱音メインで和音の上声が旋律になっており、和音は極力控えめに&旋律が浮き出るように演奏すれば、音律の欠点がそんなに目立たないはずですし、くぐもった響きはむしろシューベルトが意図したものかもしれません。
後半ト長調で元気(笑)になる部分では、ト長調はニ長調よりも綺麗に響くことが利用されている可能性もあります。

デジタルピアノの音律変更機能で、この曲をプリセットのヴェルクマイスターとキルンベルガー(第三法)で試奏することはできませんか?(楽器店などで)
両者は似ていますが、音律内で相対的にEとB(←英語音名)がキルンベルガーの方が「低い」です。
シューベルトの魅力は何といっても旋律にあるので、E音とB音(どちらもこのソナタで頻出)の高さに注意して、旋律がより自然に&美しく感じられる方に決めたらいかがでしょうか?
第二楽章だけでなく、第一楽章の主題なども良い手がかりになると思います。
例えばモーツァルトのソナタでは、(あくまで私見ですが)ヴェルクマイスターの方が良いのですよ。

多くの古典調律ではニ長調⇒イ長調⇒ホ長調のあたりで和音の響きが大きく変化するので、このソナタはそれを狙っているとも言えます。
またそれを意識した演奏が求められるでしょう。
平均律では「長ったらしく」感じられるシューベルトのソナタも、古典調律ならだいぶ印象が変わるはずです。

★今ショパンやキルンベルガー第一法関連をやっているので、シューベルトはすぐにできないのですが、このソナタは彼としては短いし懸案の?イ長調なので、いずれ取り上げようと思います。(好きな曲でもありますし)

お返事ありがとうございました。

  • Japolonaise
  • 2013/08/02(Fri)02:15:36
  • 編集
REIKOさん、

丁寧なお返事、ありがとうございました。
実を言うと昔、調律(平均律)をかじったことがあるので用語はなんとなくわかりますが、音律についてはまだまだ知識不足なので、こちらのブログの記事を読み返しながら、少しづつ勉強してしていくつもりです。

というわけで、これはあくまでも弾いてみた上での感想ですが、シューベルトは和声がとてもシビア(3,4,5,6度の音程が頻出するせい?)で、ユニゾンやオクターブがほんの少しずれただけでも、作品の美しさが失われてしまう気がします。このソナタの2楽章はとりわけこの傾向が顕著で、うちでお願いしている調律師さん(調律はもちろん平均律)が、調律のチェック用に楽譜をコピーして帰ったほど(笑)

だから素人耳でも、せめて5度を純正にできれば、メリハリもつくし、すっきりとまとまりそうなのは見当がつきます。シューベルトは少年合唱団ですごした時間も長かったから、純正の響きへの愛着もとりわけ強かったのでは、なんて想像しています。

ショパンも大好きな作曲家なので、ショパン関係の記事を読ませていただきながら、シューベルトのソナタの分析記事を気長に待つことにします。いただいたコメントの中で、モーツァルトはヴェルクマイスターの方がしっくりくると書いておられましたが、この辺についても、折を見て、詳しく書いていただけたらうれしいです。

電子ピアノですが、使ったことがないのと、海外在住ということもあり、楽器屋さんはちょっと敷居が高そう。少し下調べしてから行ってみますね。

まだまだ知識不足なので、見当はずれなことを書いてしまったかもしれませんが、ご容赦ください。

無題

  • Japolonaise
  • 2013/08/02(Fri)02:23:33
  • 編集
つけたしです。

シューベルト、弾いていると、和声の美しさに気をとられて退屈する暇もないという感じなのですが、それでも聞き手に回ると冗長さを感じるのは、REIKOさんも書かれている古典調律の調性感が平均律のせいでうやむやにされ、メリハリと色彩感が失われてしまったことにあるのでしょうね。

できるだけ早く、古典調律でこのソナタを聴いて(+弾いて)みたいです。

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