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ホ短調のヒ・ミ・ツ

シューマンのユーゲントアルバム第16曲「最初の損失」は#1つのホ短調、ほとんど転調もしていないので白鍵の使用が多い曲です。
にもかかわらず、D-Aが狭くてまともに使うのは厳しいキルンベルガー第一法で良好に演奏できます。
やってみました↓↓↓(ちょっと危ない所もあるんですが・・・)


一応、平均律も出しておきます。
どちらかを10回(!)くらい聴いてその音程に慣れてからもう一方を聴くと、かなり違うのが分かると思います。(ある程度大きな音量でお試し下さい)


ホ短調がキルンベルガー第一法にとって都合がいい理由は、これです。↓↓↓


和声的短音階なら、DとAのうちDをあまり使わなくて済むわけですね。
しかもホ短調で重要な、E-GやA-Cの短三度が第一法では純正なので、音律の長所も十分に生きることになります。
曲の冒頭はそれが良く分かるところです。↓↓↓


しかし後半、主題が再現する少し前のフレーズで、D音がAと同時または近接使用となる個所があって、よぉぉ~~~く聴いていると、若干不安定ではあります。↓↓↓


★一箇所だけD・Aの同時打鍵がありますが、音域が離れたA-D(1オクターブ+四度)であること、同時にF#(Dに対して純正音程)が鳴っていること、D音は本来D#であるべき音の変位である・・・など複数の救済要因が重なっているので、不正音程に気づきにくいようです。

この曲は非常に短く、ごく一部の転調部分を除いてホ短調なので、キルンベルガー第一法でも大丈夫でした。
しかしもう少し規模の大きい曲となれば、他の調に行きたくなります。
特に長調・・・その際にも第一法にとって安全調をと考えた場合、どうすればいいでしょうか?
最も一般的な平行長調のト長調への転調は、属和音でD-Aをまともに使うので非常に危険です。

・・・となれば、同名長調のホ長調ですね。
ホ長調なら、属和音・下属和音共にD-Aを使わないので安全、つまりホ短調⇒ホ長調⇒ホ短調のような構成にすれば、ある程度長い曲でも第一法で弾けそうな曲が書けそう(在りそう)です。
ただし、第一法のホ長調は長三度が純正よりもかなり広くなるので、それが考慮されている必要がありますが。

実際そういう曲を見つけました ──── はい、ショパンです。(笑)
シューマンを例にキルンベルガー第一法の記事を書いていたのは、実はショパンへの伏線でありました。
次回からは、しばらくショパンを攻めたいと思います。
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正統な逃げ方?

和声的短音階というのは「長調的短調」とでもいうものでしょうか。旋律的短音階の上行はさらに顕著ですが。
しかしホ短調では,導入された導音がこの音律の濁りを防いでいるというのもまた暗示的ですね。
ショパンも期待します。
この曲,「はじめての悲しみ」とか言って子供の頃見よう見まねで弾いたような気がします。

音律と短調

  • REIKO
  • 2013/03/16(Sat)00:13:31
  • 編集
Enriqueさん、

ミーントーンの時は、ト長調から平行短調のホ短調になると、和声的短音階でDの代わりにD#を使うので、通常のEs型だとマズい…なんてやってましたが、今回はD#でラッキ~!な例でした。
ベートーヴェンとキルンベルガー第二法では、一見第二法の純正領域と関係無さそうなハ短調やヘ短調で、やはり和声的短音階だと属和音でGBDやCEGが使えるメリットがあり、短調と音律の関係って、長調よりも奥が深い気がします。

>「はじめての悲しみ」とか言って子供の頃見よう見まねで弾いたような気がします

はい私もこの曲は、最初NHK教育の「ピアノのおけいこ」テキストで知って、その時は「初めての悲しみ」という訳だったと思います。
「悲しみ」の内容は、小さい子供だとお気に入りのオモチャが壊れたとか、仲のいい友逹が転校した…みたいなことをレッスンで想像させて弾くのでしょうが、もう少し大人になれば「失恋」でしょうね。(笑)
手元の全音版の「損失」という訳語は、イマイチ情緒がないですが…。

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