平均律で音痴になる20世紀のピアノ曲
ピアノ再開して、練習曲などでリハビリしながら簡単に弾ける曲ないかな?ということで、全音から出ている「カイエ・ドゥ・ルモアンヌ2~20のやさしい現代フランスピアノ作品」という楽譜を買ってきました。
初級後半(ブルクミュラー程度)の難易度でしょうか。
各曲、譜ヅラを見て良さそうなものをサラッと弾いてみたら、さっそく気に入ったのは「天井桟敷の人々」などの映画音楽で有名なモーリス・ティリエ(1906-1972)が1948年に作った「プランテーション・ソング」という曲。
練習してみると、見た目ほど簡単ではないことが分かり(この作品集はその手の曲が多いのに後で気づくなど)、思いの外仕上がるのに時間がかかってしまいましたが、前記事にも書いたように音律をキルンベルガー(第3法)にしている電子ピアノではこんな感じです。↓
◆著作権が生きてるので楽譜は出せません。自演の音源は、外国曲の場合Youtubeを通してもダメな場合があるようなんですが、個別に判断できないので文句言われなければいいかな?ということにしておきます。
(それより著作権がとうに切れている古いクラシック音楽の打ち込みをアップすると、既製CDのコピーと誤認判定されるのを何とかして欲しいです────もう何回「異議申立て」を送信したか分からず)
ハ長調、右手2声・左手2声の4声体です。実際は、和音が並んでいてその上声部が旋律と感じるかもしれません。
音律の制約を受ける鍵盤楽器があまり得意でない書法なのに、キルンベルガーなかなか良いではありませんか。
しかし20世紀半ばの曲なんだから、これはもう平均律作曲であろう、その方がもっと良いのではと思い、音律を切り替えて弾いてみると…!
あまりの酷さに耐え難く、途中で手が止まってしまいました!!!
ではこれが問題の平均律です↓
◆SMF(スタンダードMIDIファイル)で記録した演奏をオーディオ変換する際、再生する楽器の音律設定を変えることで、同じ演奏を複数の異なる音律でオーディオファイルにできる仕組みを利用しています。従って演奏はキルンベルガーのものと同じで、音律だけが違います。
最初は、数週間キルンベルガーで練習していて突然平均律にしたから音痴ピアノに聴こえたのかな?と思いました。
しかし何度聴いても違和感がぬぐえません───ツイッターではいきなりこれを聴いて「キモチワルーイ」と言った方もいました。
冒頭から響きが不安定な上、旋律の山場、ミ・ミ・ミド~♪の「ミ」が完全にハズレていて、長三度が広すぎる平均律の欠点が露呈しています。
(キルンベルガーでは「ド-ミ」は純正)
さらにその前のド~ド~レファ~ラ・ド~ラ~レ~♪という旋律(ここ大好きなんですが)も、どことなく音程が決まらず変ですね。
その後まあまあの短調部分を経て、冒頭テーマが戻ってくると、またミ・ミ・ミド~♪が…(苦笑)
特に1分31秒過ぎの部分はフォルテシモなので、弱音でごまかすとかできません、一番いい所で盛大にハズレるとは…!!!
ミーントーン時代に作曲されたチェンバロ曲ならともかく、こんなに平均律でボロボロになる20世紀のピアノ曲なんて今まで出会ったことないです。
(古典調律が合う現代曲もたくさん見つけましたが、それらだって平均律で一応OKだったんですから)
・平均律慣れしてしまえばこれでも構わないのか?
・ピアノを使わない脳内作曲だったのか?
・ティリエ氏は作曲家としてあり得ないくらい耳が鈍感だったのか?
・ティリエ氏のピアノはキルンベルガーだったとか?
……どれもスッキリしないなあ…(-_-)
音律探偵のためにこの曲を練習したわけでもないのに、さっそくミステリーに遭遇してしまいました。(これはもう性分というものでしょう)
そこで数日頭をひねっていると、もしかして!?と頭に浮かんだことが…!
────次回に続く♪
初級後半(ブルクミュラー程度)の難易度でしょうか。
各曲、譜ヅラを見て良さそうなものをサラッと弾いてみたら、さっそく気に入ったのは「天井桟敷の人々」などの映画音楽で有名なモーリス・ティリエ(1906-1972)が1948年に作った「プランテーション・ソング」という曲。
練習してみると、見た目ほど簡単ではないことが分かり(この作品集はその手の曲が多いのに後で気づくなど)、思いの外仕上がるのに時間がかかってしまいましたが、前記事にも書いたように音律をキルンベルガー(第3法)にしている電子ピアノではこんな感じです。↓
◆著作権が生きてるので楽譜は出せません。自演の音源は、外国曲の場合Youtubeを通してもダメな場合があるようなんですが、個別に判断できないので文句言われなければいいかな?ということにしておきます。
(それより著作権がとうに切れている古いクラシック音楽の打ち込みをアップすると、既製CDのコピーと誤認判定されるのを何とかして欲しいです────もう何回「異議申立て」を送信したか分からず)
ハ長調、右手2声・左手2声の4声体です。実際は、和音が並んでいてその上声部が旋律と感じるかもしれません。
音律の制約を受ける鍵盤楽器があまり得意でない書法なのに、キルンベルガーなかなか良いではありませんか。
しかし20世紀半ばの曲なんだから、これはもう平均律作曲であろう、その方がもっと良いのではと思い、音律を切り替えて弾いてみると…!
あまりの酷さに耐え難く、途中で手が止まってしまいました!!!
ではこれが問題の平均律です↓
◆SMF(スタンダードMIDIファイル)で記録した演奏をオーディオ変換する際、再生する楽器の音律設定を変えることで、同じ演奏を複数の異なる音律でオーディオファイルにできる仕組みを利用しています。従って演奏はキルンベルガーのものと同じで、音律だけが違います。
最初は、数週間キルンベルガーで練習していて突然平均律にしたから音痴ピアノに聴こえたのかな?と思いました。
しかし何度聴いても違和感がぬぐえません───ツイッターではいきなりこれを聴いて「キモチワルーイ」と言った方もいました。
冒頭から響きが不安定な上、旋律の山場、ミ・ミ・ミド~♪の「ミ」が完全にハズレていて、長三度が広すぎる平均律の欠点が露呈しています。
(キルンベルガーでは「ド-ミ」は純正)
さらにその前のド~ド~レファ~ラ・ド~ラ~レ~♪という旋律(ここ大好きなんですが)も、どことなく音程が決まらず変ですね。
その後まあまあの短調部分を経て、冒頭テーマが戻ってくると、またミ・ミ・ミド~♪が…(苦笑)
特に1分31秒過ぎの部分はフォルテシモなので、弱音でごまかすとかできません、一番いい所で盛大にハズレるとは…!!!
ミーントーン時代に作曲されたチェンバロ曲ならともかく、こんなに平均律でボロボロになる20世紀のピアノ曲なんて今まで出会ったことないです。
(古典調律が合う現代曲もたくさん見つけましたが、それらだって平均律で一応OKだったんですから)
・平均律慣れしてしまえばこれでも構わないのか?
・ピアノを使わない脳内作曲だったのか?
・ティリエ氏は作曲家としてあり得ないくらい耳が鈍感だったのか?
・ティリエ氏のピアノはキルンベルガーだったとか?
……どれもスッキリしないなあ…(-_-)
音律探偵のためにこの曲を練習したわけでもないのに、さっそくミステリーに遭遇してしまいました。(これはもう性分というものでしょう)
そこで数日頭をひねっていると、もしかして!?と頭に浮かんだことが…!
────次回に続く♪
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電子ピアノで25年ぶり楽器再開
ちょ…汗; 一年以上も放置してしまいました…(^ ^;)
実はその間に、丸25年ブランクだったピアノの指のリハビリをして、ロ-ランドの電子ピアノ(音律変更可能)を買ったんです。
音律研究で打ち込みするために色々と楽譜を買っていたら、やっぱり楽器を弾いて音を出したくなったんですね…
ピアノは幼稚園~小学校1年の冬まで習わされていて、教材はメトードローズやバイエルでしたがサッパリ分からず(楽譜が理解できなかったんだと思います)、バイエル2番の途中で辞めてしまいました。
ところがその後小学3年の時、何気に以前の教材を見たら、楽譜は簡単に読めるし指も動いてスイスイ弾けるではありませんか!
当時家にあったのはカワイ製の電気式リードオルガンで、それでアッという間にバイエルを終えブルクミュラーや併用曲集などを弾いていたら、音域的に鍵盤が足りなくなってきました。
親に無理を言って、ようやくピアノを買ってもらったのが小学6年の春でしたね。
習っていた時はとにかくつまらなかった印象しかないので、先生にはつかずに教育テレビの「ピアノのおけいこ」を熱心に見ながら、独学していました。
ハノンやチェルニー、ソナチネ、インヴェンション…と、メイン教材?は習っている人同様の正統路線でしたが、楽曲は「おけいこ」で知ったバッハ以外のバロックや近現代もの、邦人作曲家の小品が好きで良く弾いていました。
ただ手が小さい(1オクターブが「上から」掴めない)こともあり、中級後半に入ってハイドンやモーツァルトのソナタに挑戦し始めたあたりで、苦戦気味になってきましたが…(^ ^;)
その後、引っ越しで楽器が置けない環境になった時も「ピアノをやめた」とは全く思っていませんでした。
習っていると「習うのをやめる=ピアノをやめる」になる場合も多いようですが、習ってないのでやめるという概念もないんですね。
時は流れて(笑)、電子ピアノなどという便利なモノ(楽器としてはどーよ!?と色々言われてはいますが)が普及し、古典調律も試せるんなら買ってみようか、しかし25年ものブランクで指は動くんかいな?⇒家でエアハノンwなどやりながら、時々楽器店に行って試奏がてら音階練習などしていたら、結構調子が戻ってきたので────
───20万円近く出してドーン!と買ってしまいました♪
それで現在は設定バックアップ機能を使って、電源を入れるとキルンベルガー(第3法)になるようにして使っています。
★デフォルトでは終了時どのような音律になっていても、電源を入れ直すと平均律に戻る
何か弾きたい楽曲があるというより、指を動かして練習すること自体が好きなので、今のところは基礎練習や練習曲をメインに、近現代ものの小品を弾いて楽しんでいますが、キルンベルガーは古典調律の中では「目立った不具合が出ない」という消極的利点があるだけで、純正音程の快感みたいなものはほとんど感じませんね。
むしろ以下の様な、気になる点がチラホラ…
リトルピシュナは半音ずつ上下行する全調タイプの基礎練教本で、以前基礎練に使っていたハノンが(自分で移調練習しない限り)白鍵中心だったので、ピアノ再開に当たり黒鍵と調号の多い調対策としてやっているものです。
これがキルンベルガーだと、安定した和音からピタゴラス長三度まで色々出てきて、まあ調性感あって面白いと言えば面白いですけど。
なおハノンは純正律にして弾くと音が澄んで気持ち良いですが、移調練習する際に一々基音変更しないと音痴ピアノになるのが難ですね。
むしろキルンベルガーはフォルテピアノの音色(3種ある)と組み合わせて、クレメンティやフンメルあたりを弾くと、それっぽく?なるようです。
当然ですが、ミーントーンはチェンバロの音色が良いですね。
スウェーリンクやパッヘルベルなどを弾いてみましたが、古風な感じが良く出てました。
それでもしかして「88鍵ボイシング~ストレッチ・チューニング」なる機能を裏技的に使うと、キルンベルガー第2法(その他プリセット以外の音律色々)もできそう?と思ってるんですが、1鍵ずつ調整するので面倒なのと、練習するのが楽しくてまだ試していません。
そのうちヤル気が出たらエイヤッと…! (^ ^;)
設定をUSBメモリに保存すればいつでも読み込めるので、各種音律に即チェンジ…も夢ではないはず。
(と思いますが、裏ワザが機能しなかったらガックリだなぁ───)
実はその間に、丸25年ブランクだったピアノの指のリハビリをして、ロ-ランドの電子ピアノ(音律変更可能)を買ったんです。
音律研究で打ち込みするために色々と楽譜を買っていたら、やっぱり楽器を弾いて音を出したくなったんですね…
ピアノは幼稚園~小学校1年の冬まで習わされていて、教材はメトードローズやバイエルでしたがサッパリ分からず(楽譜が理解できなかったんだと思います)、バイエル2番の途中で辞めてしまいました。
ところがその後小学3年の時、何気に以前の教材を見たら、楽譜は簡単に読めるし指も動いてスイスイ弾けるではありませんか!
当時家にあったのはカワイ製の電気式リードオルガンで、それでアッという間にバイエルを終えブルクミュラーや併用曲集などを弾いていたら、音域的に鍵盤が足りなくなってきました。
親に無理を言って、ようやくピアノを買ってもらったのが小学6年の春でしたね。
習っていた時はとにかくつまらなかった印象しかないので、先生にはつかずに教育テレビの「ピアノのおけいこ」を熱心に見ながら、独学していました。
ハノンやチェルニー、ソナチネ、インヴェンション…と、メイン教材?は習っている人同様の正統路線でしたが、楽曲は「おけいこ」で知ったバッハ以外のバロックや近現代もの、邦人作曲家の小品が好きで良く弾いていました。
ただ手が小さい(1オクターブが「上から」掴めない)こともあり、中級後半に入ってハイドンやモーツァルトのソナタに挑戦し始めたあたりで、苦戦気味になってきましたが…(^ ^;)
その後、引っ越しで楽器が置けない環境になった時も「ピアノをやめた」とは全く思っていませんでした。
習っていると「習うのをやめる=ピアノをやめる」になる場合も多いようですが、習ってないのでやめるという概念もないんですね。
時は流れて(笑)、電子ピアノなどという便利なモノ(楽器としてはどーよ!?と色々言われてはいますが)が普及し、古典調律も試せるんなら買ってみようか、しかし25年ものブランクで指は動くんかいな?⇒家でエアハノンwなどやりながら、時々楽器店に行って試奏がてら音階練習などしていたら、結構調子が戻ってきたので────
───20万円近く出してドーン!と買ってしまいました♪
それで現在は設定バックアップ機能を使って、電源を入れるとキルンベルガー(第3法)になるようにして使っています。
★デフォルトでは終了時どのような音律になっていても、電源を入れ直すと平均律に戻る
何か弾きたい楽曲があるというより、指を動かして練習すること自体が好きなので、今のところは基礎練習や練習曲をメインに、近現代ものの小品を弾いて楽しんでいますが、キルンベルガーは古典調律の中では「目立った不具合が出ない」という消極的利点があるだけで、純正音程の快感みたいなものはほとんど感じませんね。
むしろ以下の様な、気になる点がチラホラ…
リトルピシュナは半音ずつ上下行する全調タイプの基礎練教本で、以前基礎練に使っていたハノンが(自分で移調練習しない限り)白鍵中心だったので、ピアノ再開に当たり黒鍵と調号の多い調対策としてやっているものです。
これがキルンベルガーだと、安定した和音からピタゴラス長三度まで色々出てきて、まあ調性感あって面白いと言えば面白いですけど。
なおハノンは純正律にして弾くと音が澄んで気持ち良いですが、移調練習する際に一々基音変更しないと音痴ピアノになるのが難ですね。
むしろキルンベルガーはフォルテピアノの音色(3種ある)と組み合わせて、クレメンティやフンメルあたりを弾くと、それっぽく?なるようです。
当然ですが、ミーントーンはチェンバロの音色が良いですね。
スウェーリンクやパッヘルベルなどを弾いてみましたが、古風な感じが良く出てました。
それでもしかして「88鍵ボイシング~ストレッチ・チューニング」なる機能を裏技的に使うと、キルンベルガー第2法(その他プリセット以外の音律色々)もできそう?と思ってるんですが、1鍵ずつ調整するので面倒なのと、練習するのが楽しくてまだ試していません。
そのうちヤル気が出たらエイヤッと…! (^ ^;)
設定をUSBメモリに保存すればいつでも読み込めるので、各種音律に即チェンジ…も夢ではないはず。
(と思いますが、裏ワザが機能しなかったらガックリだなぁ───)
想定外の転調!~ショパン・ノクターン第1番
ショパンのノクターン第1番は、フラット5つの変ロ短調(変ニ長調の平行短調)です。
いわゆる音律の裏をメインに使うので、普通ならキルンベルガー第一法のウルフD-Aに抵触する危険は低いのに、中間部分で想定外の転調があるため、第一法ではまともに不具合が出てしまいます。
実は第二法でもギリギリなんですが…まあどうぞ(笑)↓
問題の個所は、変ニ長調からたった半小節の移行部を経て、半音上のニ長調に転調する部分です。
D-Aがウルフの第一法にとって、ニ長・短調は最も苦手な調です。
しかも最も音程の狂いが目立つ中音域での空五度、遅いテンポ…では、どんなに弱く弾いても(ここは「ppp」ですが)D・Aを同時打鍵したところでアウトなんですね。
第二法でギリギリ・セーフなのも、ここが「ppp」だからです。
逆に言えば、何故ここが「ppp」なのか ────この曲を作曲していた時、ショパンのピアノが第二法だった ──── からかもしれません。
ここを過ぎると急に「f」になるのが何か怪しい…(笑)
★このニ長調部分は4回出現し、2回目以降は初版譜に強弱記号が欠けているため、多くの版では「ppp」や「pp」などが補充されています。
いずれにせよ、非常に弱く弾かれる部分になります。
強弱法が「二法で救助」的だったので、動画は二法で作りましたが、このノクターンはヴェルクマイスターやヤング2など他の古典調律で演奏しても、純正五度が並んでいる裏メインなので、聴いた感じはそんなに変わりません。
危険を犯してまで二法で演奏する利点は少ないとも言えます。
平均律も、やや旋律が左手分散和音の中に沈みますが、その分柔らかなサウンドで雰囲気もあり悪くないです。
まあどの音律でも似たようなもん…ということで、音律探偵的にはつまらない曲ですね。
ところで、なぜ変ニ長調⇒ニ長調が「想定外」転調になるのでしょう。
実は半音上(または下)への転調は、ミーントーンやそれを修正した音律で鍵盤楽器が調律されていた時代には無謀だったのです。
このように↓五度圏図でほぼ反対の領域を使うので。
五度圏のどこかに音律的弱点があると、このような転調をした時に響きが歪んでしまいますね。
作曲的にも音階構成音の大部分を取り替えないといけないので、自然に転調させるためには移行部に工夫が要ります。
(上の図でC#とF#音は両者共通ですが、厳密には変ニ長調はC#⇒D♭、F#⇒G♭なので、異名異音時代の感覚では「全とっかえ」になる)
そんなこんなで(笑)特に鍵盤曲では、半音の転調は伝統的に普通でないわけです。
しかし平均律前提の現代のポピュラー音楽では、普通に使われています。
最も良くあるのは、曲の最後にサビを繰り返す時「半音上げる」ですね。
繰り返しの冗漫を避け、よりいっそう曲を盛り上げる効果があります。
カラオケで思い当たりませんか?
音域に余裕がある歌手だと「全音上げ」もあります。
私はイタリアのポップスを良く聴きますが、イタリアでは全音上げの方が目立ち、何と!1番から2番に行く時「全音上げ」、最後にサビを繰り返す時もう一回「全音上げ」する人までいます。
しかも転調のための間奏なしで、いきなりポン!と上がるんですね。
日本では短い間奏アリの方が普通と思いますが、最近のJ-POPには疎いのでこの点どうなんでしょうか?
転調事情も時代や地域により色々あって、調べたらなかなか面白そうです。
いわゆる音律の裏をメインに使うので、普通ならキルンベルガー第一法のウルフD-Aに抵触する危険は低いのに、中間部分で想定外の転調があるため、第一法ではまともに不具合が出てしまいます。
実は第二法でもギリギリなんですが…まあどうぞ(笑)↓
問題の個所は、変ニ長調からたった半小節の移行部を経て、半音上のニ長調に転調する部分です。
D-Aがウルフの第一法にとって、ニ長・短調は最も苦手な調です。
しかも最も音程の狂いが目立つ中音域での空五度、遅いテンポ…では、どんなに弱く弾いても(ここは「ppp」ですが)D・Aを同時打鍵したところでアウトなんですね。
第二法でギリギリ・セーフなのも、ここが「ppp」だからです。
逆に言えば、何故ここが「ppp」なのか ────この曲を作曲していた時、ショパンのピアノが第二法だった ──── からかもしれません。
ここを過ぎると急に「f」になるのが何か怪しい…(笑)
★このニ長調部分は4回出現し、2回目以降は初版譜に強弱記号が欠けているため、多くの版では「ppp」や「pp」などが補充されています。
いずれにせよ、非常に弱く弾かれる部分になります。
強弱法が「二法で救助」的だったので、動画は二法で作りましたが、このノクターンはヴェルクマイスターやヤング2など他の古典調律で演奏しても、純正五度が並んでいる裏メインなので、聴いた感じはそんなに変わりません。
危険を犯してまで二法で演奏する利点は少ないとも言えます。
平均律も、やや旋律が左手分散和音の中に沈みますが、その分柔らかなサウンドで雰囲気もあり悪くないです。
まあどの音律でも似たようなもん…ということで、音律探偵的にはつまらない曲ですね。
ところで、なぜ変ニ長調⇒ニ長調が「想定外」転調になるのでしょう。
実は半音上(または下)への転調は、ミーントーンやそれを修正した音律で鍵盤楽器が調律されていた時代には無謀だったのです。
このように↓五度圏図でほぼ反対の領域を使うので。
五度圏のどこかに音律的弱点があると、このような転調をした時に響きが歪んでしまいますね。
作曲的にも音階構成音の大部分を取り替えないといけないので、自然に転調させるためには移行部に工夫が要ります。
(上の図でC#とF#音は両者共通ですが、厳密には変ニ長調はC#⇒D♭、F#⇒G♭なので、異名異音時代の感覚では「全とっかえ」になる)
そんなこんなで(笑)特に鍵盤曲では、半音の転調は伝統的に普通でないわけです。
しかし平均律前提の現代のポピュラー音楽では、普通に使われています。
最も良くあるのは、曲の最後にサビを繰り返す時「半音上げる」ですね。
繰り返しの冗漫を避け、よりいっそう曲を盛り上げる効果があります。
カラオケで思い当たりませんか?
音域に余裕がある歌手だと「全音上げ」もあります。
私はイタリアのポップスを良く聴きますが、イタリアでは全音上げの方が目立ち、何と!1番から2番に行く時「全音上げ」、最後にサビを繰り返す時もう一回「全音上げ」する人までいます。
しかも転調のための間奏なしで、いきなりポン!と上がるんですね。
日本では短い間奏アリの方が普通と思いますが、最近のJ-POPには疎いのでこの点どうなんでしょうか?
転調事情も時代や地域により色々あって、調べたらなかなか面白そうです。
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