ミーントーンでスカルラッティ K.3
電子ピアノのフォルテピアノ音を使い、ミーントーンでドメニコ・スカルラッティのソナタ K.3 を弾いてみました。
半音階進行の箇所でミーントーン独特の歪みが出て、なかなか癖のある響きになっているのがミソです。
曲中、音律に存在しないA♭音は、代わりにG♯音が鳴っています。
かなり低く感じますが、ギリギリセーフでしょうか…!?
旋律的なフレーズではなく、減7の分散和音のため、何とか許せるのでしょう。
(許せない方います?)
この曲、互いに何の関係もないようなモチーフの連なりで書かれているのに、散漫な印象を与えないのは、さすがスカルラッティだと思います。
他の誰にも真似できない、彼独特の世界がここにあります。
ミーントーンで演奏すると、モチーフごとの個性が際立つので、より一層面白く聴けますね。
半音階進行の箇所でミーントーン独特の歪みが出て、なかなか癖のある響きになっているのがミソです。
曲中、音律に存在しないA♭音は、代わりにG♯音が鳴っています。
かなり低く感じますが、ギリギリセーフでしょうか…!?
旋律的なフレーズではなく、減7の分散和音のため、何とか許せるのでしょう。
(許せない方います?)
この曲、互いに何の関係もないようなモチーフの連なりで書かれているのに、散漫な印象を与えないのは、さすがスカルラッティだと思います。
他の誰にも真似できない、彼独特の世界がここにあります。
ミーントーンで演奏すると、モチーフごとの個性が際立つので、より一層面白く聴けますね。
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ピタゴラス律のウルフと基音の関係
音律(スケール)変更できる電子ピアノで、ピタゴラス律に設定した場合の、基音とウルフの位置について説明します。
基本的なことは、こちらで説明しているミーントーンと同じです。
まず初期設定の基音Cの状態で、全ての5度を弾いてみます。
すると一箇所だけ、「合ってない」大きくうなりの出る5度があるはずです。
(この合ってない5度、ミーントーンは「広すぎ」ですが、ピタゴラス律は「狭すぎ」なことに注意)
多くの機種では以下のように、G♯ - E♭がそれ(ウルフ)だと思います。
五度圏図上で、この基音Cとウルフの位置関係をよく覚えてください。
(もしG♯ - E♭以外がウルフの場合は、その5度と基音Cの位置関係を把握)
基音を動かすと、この位置関係を保ったまま、ウルフも五度圏を移動します。
時計に見立てると、基音が時計回りに◆時間動いたら、ウルフもやはり時計回りに◆時間動くということです。
基音F、基音Gならこうなります。
ミーントーンの場合と全く同じですね。
ただし異名異音のミーントーンは、ウルフが動くとそれに伴い音律上の音名も変化しますが、ピタゴラス律は平均律のように完全でなくも、いわば「なんちゃって異名同音」が成立している点が違います。
上図には一応「ウルフ以外の5度は純正」を示す音名を書いておきましたが、実際は基音Fの方のA♭はG♯に、基音Gの方のD♯はE♭にもなり得ます。
それ以外の音についても、異名音が一応は有効で、曲中の使われ方によって適合・不適合が起こると考えてください。
その理由は、ミーントーンのウルフは純正より約36.5セントも広い超弩級なのに対し、ピタゴラス律のそれは約24セント狭いという軽度で済んでいるからが一つ、さらにこちらの記事で説明しているように、ピタゴラス律ではウルフを挟んで純正に近い三度が(偶然!)できてしまうことがあります。
ただこのせいで「この曲に使えそうか?使うならウルフの位置はどこ?」の判定が、音名から見当付けやすいミーントーンに比べ、ピタゴラス律は分かりにくいという難点があります。
ウルフ5度そのものを和音や重音で使ったり、近接使用さえしなければ、一応はどんな曲でも破綻せずに弾けますが、多くの長三度が平均律よりもさらに純正からハズレており、音痴演奏にしかならないことも多々あります。
まあ試してみないと分からないのが実際のところですが、とりあえずオススメは基音F♯にしたD-Aウルフのピタゴラス律です。
「調号が多い」は概ね4個以上、特に♭系です。
よほど遠隔調へ転調しない限り、D-Aウルフに抵触することはない調ですね。
特に「右手が旋律+左手が分散和音で伴奏」のロマン派曲、5度を多用する近現代モノで、ピタゴラス律の特徴が生きます。
★これについてはこちらの記事も御参考に。
ここでは最近のピアノ曲を、ピタゴラス律で演奏した例をあげておきます。
★変ニ長調、基音F♯のD-Aウルフ。
★中国民謡のピアノ編曲、5音音階、5度が多用されています。基音AのF-Cウルフ。
基本的なことは、こちらで説明しているミーントーンと同じです。
まず初期設定の基音Cの状態で、全ての5度を弾いてみます。
すると一箇所だけ、「合ってない」大きくうなりの出る5度があるはずです。
(この合ってない5度、ミーントーンは「広すぎ」ですが、ピタゴラス律は「狭すぎ」なことに注意)
多くの機種では以下のように、G♯ - E♭がそれ(ウルフ)だと思います。
五度圏図上で、この基音Cとウルフの位置関係をよく覚えてください。
(もしG♯ - E♭以外がウルフの場合は、その5度と基音Cの位置関係を把握)
基音を動かすと、この位置関係を保ったまま、ウルフも五度圏を移動します。
時計に見立てると、基音が時計回りに◆時間動いたら、ウルフもやはり時計回りに◆時間動くということです。
基音F、基音Gならこうなります。
ミーントーンの場合と全く同じですね。
ただし異名異音のミーントーンは、ウルフが動くとそれに伴い音律上の音名も変化しますが、ピタゴラス律は平均律のように完全でなくも、いわば「なんちゃって異名同音」が成立している点が違います。
上図には一応「ウルフ以外の5度は純正」を示す音名を書いておきましたが、実際は基音Fの方のA♭はG♯に、基音Gの方のD♯はE♭にもなり得ます。
それ以外の音についても、異名音が一応は有効で、曲中の使われ方によって適合・不適合が起こると考えてください。
その理由は、ミーントーンのウルフは純正より約36.5セントも広い超弩級なのに対し、ピタゴラス律のそれは約24セント狭いという軽度で済んでいるからが一つ、さらにこちらの記事で説明しているように、ピタゴラス律ではウルフを挟んで純正に近い三度が(偶然!)できてしまうことがあります。
ただこのせいで「この曲に使えそうか?使うならウルフの位置はどこ?」の判定が、音名から見当付けやすいミーントーンに比べ、ピタゴラス律は分かりにくいという難点があります。
ウルフ5度そのものを和音や重音で使ったり、近接使用さえしなければ、一応はどんな曲でも破綻せずに弾けますが、多くの長三度が平均律よりもさらに純正からハズレており、音痴演奏にしかならないことも多々あります。
まあ試してみないと分からないのが実際のところですが、とりあえずオススメは基音F♯にしたD-Aウルフのピタゴラス律です。
「調号が多い」は概ね4個以上、特に♭系です。
よほど遠隔調へ転調しない限り、D-Aウルフに抵触することはない調ですね。
特に「右手が旋律+左手が分散和音で伴奏」のロマン派曲、5度を多用する近現代モノで、ピタゴラス律の特徴が生きます。
★これについてはこちらの記事も御参考に。
ここでは最近のピアノ曲を、ピタゴラス律で演奏した例をあげておきます。
★変ニ長調、基音F♯のD-Aウルフ。
★中国民謡のピアノ編曲、5音音階、5度が多用されています。基音AのF-Cウルフ。
ミーントーンのウルフと基音の関係
色々な音律(スケール)が設定できる電子ピアノで、ミーントーンにした時の基音とウルフの位置について説明します。
初期値で基音がCの時、ウルフはG♯-E♭にある機種が大半ではないかと思います。
確認のため、実際にG♯-E♭を弾いてみてください。
この2音、鍵盤上の見かけは5度ですが、音名を見て分かるように実際は減6度の不協和音程です。
(異名異音のミーントーンでは、G♯をA♭の代わりにできません)
とても5度に聴こえる響きではないので、ここがウルフであれば聴いてすぐ分かるはずです。
以上の状態であることを前提に、話を進めます。
C音を時計の12時の位置にした、音名の五度圏図で考えると簡単です。
基音がCの時、ウルフは時計の8時~9時にありますね。
基音を他の音に動かすと、この位置関係を保ったままウルフも動きます。
例えば基音を時計と逆回りに1時間動かしてFにすると、ウルフも逆回りに1時間動きます。
時計回りに1時間なら、ウルフも時計回りに1時間…
この時、ウルフの移動に伴って音名の一部が変化することに気をつけます。
基音Cと比べた場合、基音Fでは「G♯⇒A♭」となり、基音Gでは「E♭⇒D♯」となります。
基音を時計と逆回りに動かせば♭音が次々と出現し(その代わり♯音が減る)、時計回りなら♯音出現の一方で♭音が減る、と考えればいいですね。
基音B♭と基音Dの場合ならこうなります。
要は楽譜を見て使われている音名を調べ、それが(できるだけ)音律上に用意されるよう、基音を決めればいいのです。
注)1曲の中に、E♭とD♯音が混在するなどの場合は、異名音のうち一方を優先することになります。実際に弾いてみて良いと感じる方を選んでください。
なお基音を、五度圏で初期値と反対側の6時の位置に持ってくれば、ウルフは2~3時の位置に来ます(上図の右端)。
この場合「どちら回り」に基音を動かしたかで、音律上に存在する音が異なることになります。
私が使っている電子ピアノでは、基音設定の音名が(G♭は無く)F♯なので、一応は時計回りなのでしょうが、G♭と置き換えて音名を振り直して使うことも可能かと思います。(そういう曲があればですが…)
一般に、ヴァージナル楽派や初期~中期バロック、後期バロックでも近親調転調だけですんでいるような鍵盤曲は、ウルフの位置を工夫すれば(完全に良好とは言えないまでも破綻せずに)ミーントーンで演奏できる曲が多く、ヴェルクマイスターなどの不等分律や平均律では味わえない「何か」を感じられることと思います。
その際に通常のピアノ音だと、ミーントーンでは音が太い&響きがモヤりがちになるので、気になる場合はフォルテピアノ音やチェンバロ音をお試しください。
【参考例】バッハ/インヴェンション14番を、ミーントーン+フォルテピアノ音で演奏しました。A♭音があるので、基音をFにしています。
★最初の確認の段階で、ウルフがG♯-E♭でない場合は、全ての5度を弾いてみてウルフを探し(たぶんD♯-B♭かと)、五度圏図に基音Cとウルフの位置を書いてみます。
基音を動かすと、その位置関係を保ったままウルフが移動します。
初期値で基音がCの時、ウルフはG♯-E♭にある機種が大半ではないかと思います。
確認のため、実際にG♯-E♭を弾いてみてください。
この2音、鍵盤上の見かけは5度ですが、音名を見て分かるように実際は減6度の不協和音程です。
(異名異音のミーントーンでは、G♯をA♭の代わりにできません)
とても5度に聴こえる響きではないので、ここがウルフであれば聴いてすぐ分かるはずです。
以上の状態であることを前提に、話を進めます。
C音を時計の12時の位置にした、音名の五度圏図で考えると簡単です。
基音がCの時、ウルフは時計の8時~9時にありますね。
基音を他の音に動かすと、この位置関係を保ったままウルフも動きます。
例えば基音を時計と逆回りに1時間動かしてFにすると、ウルフも逆回りに1時間動きます。
時計回りに1時間なら、ウルフも時計回りに1時間…
この時、ウルフの移動に伴って音名の一部が変化することに気をつけます。
基音Cと比べた場合、基音Fでは「G♯⇒A♭」となり、基音Gでは「E♭⇒D♯」となります。
基音を時計と逆回りに動かせば♭音が次々と出現し(その代わり♯音が減る)、時計回りなら♯音出現の一方で♭音が減る、と考えればいいですね。
基音B♭と基音Dの場合ならこうなります。
要は楽譜を見て使われている音名を調べ、それが(できるだけ)音律上に用意されるよう、基音を決めればいいのです。
注)1曲の中に、E♭とD♯音が混在するなどの場合は、異名音のうち一方を優先することになります。実際に弾いてみて良いと感じる方を選んでください。
なお基音を、五度圏で初期値と反対側の6時の位置に持ってくれば、ウルフは2~3時の位置に来ます(上図の右端)。
この場合「どちら回り」に基音を動かしたかで、音律上に存在する音が異なることになります。
私が使っている電子ピアノでは、基音設定の音名が(G♭は無く)F♯なので、一応は時計回りなのでしょうが、G♭と置き換えて音名を振り直して使うことも可能かと思います。(そういう曲があればですが…)
一般に、ヴァージナル楽派や初期~中期バロック、後期バロックでも近親調転調だけですんでいるような鍵盤曲は、ウルフの位置を工夫すれば(完全に良好とは言えないまでも破綻せずに)ミーントーンで演奏できる曲が多く、ヴェルクマイスターなどの不等分律や平均律では味わえない「何か」を感じられることと思います。
その際に通常のピアノ音だと、ミーントーンでは音が太い&響きがモヤりがちになるので、気になる場合はフォルテピアノ音やチェンバロ音をお試しください。
【参考例】バッハ/インヴェンション14番を、ミーントーン+フォルテピアノ音で演奏しました。A♭音があるので、基音をFにしています。
★最初の確認の段階で、ウルフがG♯-E♭でない場合は、全ての5度を弾いてみてウルフを探し(たぶんD♯-B♭かと)、五度圏図に基音Cとウルフの位置を書いてみます。
基音を動かすと、その位置関係を保ったままウルフが移動します。
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