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ゴルトベルク変奏曲【アリア】~修正ミーントーン

半音階的幻想曲とフーガイタリア協奏曲に続いて、バッハのゴルトベルク変奏曲を修正ミーントーンで演奏しようと企んで(笑)います。
で、前者二曲と同じウルフ三分割ミーントーンで「若干の傷はあるも」全体的には良好・・・と打ち込みを進めていましたが、やっているうちにその「若干の傷」が徐々に気になってきまして。
三つある短調の変奏で、分割ウルフの約8~9セント広い五度をまともに弾くところがあるんですね。
⇒ 第15変奏3小節、中声と上声のE♭- B♭、第21変奏12小節、中声と上声のA♭- E♭など
また、第25変奏では広い五度を二つまたぐF# - E♭が10・13小節の低声・中声に出てきて、これも響きが良くありません。

最初は「短調だからまあいいか」「和音ズラシ奏法なら目立たないはず」とか思ってましたが、破綻するような不具合でなくとも、もう少し何とかしたいな感が増幅。
また長調変奏で頻出するD#音が、同時打鍵する音の組み合わせによっては「少し高い」のも、完璧を目指す私(笑)としては、だんだん許せなくなってきました。
そこで色々と頭をひねり、考え出した音律 ↓↓↓



約5セント広い五度は、純正五度から少しずつ広くしていき同時打鍵して許せるギリギリの広さで耳調律が可能と思います。
(正確な分割というより、ウェル・テンパーの精神で)
ウルフが消失しているので、不等分律に近い音律かもしれませんが、それでもミーントーンの五度が8つ連続、純正長三度は5つ維持されていて、調号の少ない調&臨時記号の少ない箇所では、ミーントーンに近く響きます。
ではまず、これで「アリア」を演奏してみます。 ↓↓↓(繰り返し省略)



★IMSLPの旧バッハ全集譜が、何度ダウンロードしても「ファイルが壊れて」いて開けないので、(見づらいですが)初版楽譜を使っています。
でもこの曲にある程度以上の興味を持っている人なら、絶対に楽譜を持っているはず(笑)なので、お手元に用意してお聴き下さい♪

繰り返し記号前の部分は、完全にミーントーンと同じ響きです。
後半に入るとホ短調に転調して、ここで(和声的短音階のため)D#が出てきます。
この音律ではD#がE♭との兼用音なので、だいぶ高いですが十分許せますよね。
また、この部分は起承転結の「転」にあたるので、少し不穏な?響きで聴いている人にゆさぶりをかけるのが、むしろ効果的とも思えます。
(あまりに安定していると、冗談じゃなく寝てしまう・・・?)
25小節以降は、ふたたびミーントーンと同じ響きになります。

ゴルトベルク変奏曲は、いわゆる「コード進行」が同じ変奏が続くので、音律的には冒頭アリアが大丈夫であれば、少なくとも長調の変奏はOKと言えます。
次回は他の長調変奏をもう少し ──── 続く♪
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五度圏図で音律を見る

前回の五度圏図と音程の続きです ──── まず練習問題を再掲↓↓↓



サンプル音律A・Bそれぞれについて、次の問いに答えなさい♪
【問1】(  )内のセント値は?
【問2】純正長三度はいくつあるか?(無ければゼロで)
【問3】最も広い長三度は純正より何セント広いか?

前回の説明で、純正五度を積み上げて音を作っていく時、最後に「行き過ぎてしまう」約24セントをピタゴラス・コンマ、純正五度四つでできる広い長三度と純正長三度の差、約22セントをシントニック・コンマと言います。
(どちらのコンマも、比を使い分数で表すか小数値の方が正確ですが、最初からそれを使うと分かりにくくなるので、整数値の概数で話を進めます)
それぞれが「行き過ぎ」「広すぎ」た分をマイナスすれば、五度圏が閉じたり純正長三度ができたりするわけですね。
それを踏まえて ──── では解答♪

【問1】A・・・-6、B・・・-9
  全部で-24になればいいので簡単ですね。
  間違えた人は、中学時代「正の数・負の数」の授業で寝てたでしょ?(爆)
【問2】A・・・ゼロ、B・・・2
  A音律は、最も純正に近い長三度(例えばC-E)でも、純正より10セントも広いです。
  B音律は、C-EとG-Bがそれぞれ-22セントで純正長三度。
【問3】A・・・16セント広い(D-F#など、間で6セントしかマイナスしてない箇所)
    B・・・22セント広い(B-E♭など、間が全て純正五度の箇所)
    
問3が少し難しかったかもしれませんが、皆様の結果はどうでしたか~?\(^-^*)
音律AはベンデラーIII(1690頃)、Bはキルンベルガー第二法の修正版(1776)です。
前者はピタゴラス・コンマを四分割した音律という点で、有名なヴェルクマイスター(第一技法第三番)と似ていますが、狭い五度の配置が違います。↓↓↓



狭い五度が五度圏の右半分に集まっているヴェルクマイスターよりも、バラけているベンデラーの方が均(なら)された音律と言えます。
ベンデラーの狙いは、純正五度を四つ積み上げた純正より22セント広い長三度(いわゆるピタゴラス長三度⇒長三度の和声としては広すぎ、不快な響き)を無くすことにあったのでしょう。
特定の調よりは全調向けの構成で、バッハの平均律クラヴィーア曲集をこれで通すのもアリな音律と思います。

キルンベルガー第二法とその修正音律を比べると ──── ↓↓↓



第二法の純正より11セント狭い五度がガマンならない?ので、2セントずつ削ってC-G-Dに配したんでしょうね・・・しかしそうすると、G-Bの純正長三度が失われるので、F#-C#にあった-2セントをE-Bに移動させたと思われます。
一体誰ですかね~、こんなしみったれた(笑)修正をしたのは!?
(キルンベルガー本人の修正か、第三者によるものかは調べてないので分かりません)
五度の調整はプラスマイナス6セントほどが「限度」、それ以上だと不具合の原因になるので、修正しようとした気持ちは理解できますが、依然として9セント狭い五度が残っているんじゃ中途半端な気がしますけど。(^ ^;)

・・・というように、数値データを並べただけではチンプンカンプンの音律も、五度圏図に表すと一杯やりながら?あ~だこ~だとうんちくを傾けられるようになるのです。
ぜひ五度圏図と仲良くなってください♪

五度圏図と音程

音律で重要な五度や長三度といった音程を、五度圏図から読み取る方法を説明します。
五度圏図 ──── というくらいなので、隣に並んでいる音(F-C、C#-G#など)は五度です。
五度音程は全部で12ありますね。
長三度(C-Eなど)は、基準の音から右回りに四つ目になります。
長三度同士を線で結んでいくと、これも全部で12あることがわかります。



全ての五度と長三度が純正で、この五度圏の円がきちんと閉じていればいいのですが、世の中?はそんなに甘くないのでした。
例えば今、Cから始めて⇒G⇒D・・・と順に五度を純正(振動数2:3)に取りながら音を決めていくとします。
(どんどん音が高くなるので、適宜オクターブ下げる)
・・・B♭⇒Fと来たら、このFと最初にスタートしたCが純正五度になっていればいいですね。
しかし残念ながら、そうはならないんです!
F⇒CのC音は、最初のCより約24セント(平均律半音=100セント)も高い!
しかし1オクターブを12音と限ると、もうこれ以上音を増やせないので、最後のF-Cは純正より約24セントも狭い五度になってしまいます。
これが音律第一の問題、五度の困った(笑)です。

次に、C⇒G⇒D⇒A⇒Eのように、純正五度を四つ積み重ねてできる長三度(G-B、D-F#なども同様)は、純正(振動数4:5)より約22セントも広くなってしまうのです!
これが音律第二の問題、長三度の困った(爆)です。



これらのことから ────
★五度音程の合計が -24セントで、五度圏の円が閉じる
★合計で -22セントになる五度を四つ積み上げた長三度は純正

・・・と言えます。
そこで練習問題!\(^ ^)/~~♪



サンプル音律A・Bそれぞれについて、次の問いに答えなさい♪
【問1】(  )内のセント値は?
【問2】純正長三度はいくつあるか?(無ければゼロで)
【問3】最も広い長三度は純正より何セント広いか?

解答は次の記事で♪

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