♭音だらけの第25変奏~ゴルトベルク変奏曲
修正ミーントーンによるゴルトベルク変奏曲、短調最後の第25変奏は、音律的にとても興味深い展開になっています。
★マジメに(笑)繰り返しています・・・後半は3分40秒から~
★動画の楽譜は旧バッハ全集版ですが、新バッハ全集版(べーレンライター)を見て打ち込んでいるため、前打音が付加されている箇所があります。
★10小節目後半の上声部、原典ではナチュラルが無いのでD#で弾くことになりますが、どう考えても音楽的に変なのでDにしています。
カークパトリック版はナチュラル有り、(CD等を聴くと)通常はD音で演奏されています。
♭2つのト短調で始まり、前半は五度上のニ短調の同名長調で終止します。
ここまでは普通の展開。
しかし後半はものすごいことになってます!↓↓↓
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/fcad91b2817c28d82c7af86f27b0fea4/1340299317)
前半にもチラチラと出てきた A♭・D♭に加えて、G♭・C♭・F♭まで登場!
21小節目冒頭は、変ホ短調(♭6つの変ト長調の平行調)になってます。
こんな転調をしてるのは、ゴルトベルク変奏曲の中で第25変奏だけですよ。
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/fcad91b2817c28d82c7af86f27b0fea4/1340299308)
♭系の調から五度圏の下を回って右側へ侵入?したため、F#でなくG♭、BでなくC♭のような記譜になるのですが、この音律には D♭・G♭・C♭・F♭が無いので、それぞれ代わりにC#・F#・B・Eが鳴っています。
(いずれも正しい音より相当「低い」)
しかし意外と崩れません・・・最初にこの音律で♭ゾロゾロの箇所を聴いた時は、あまりに美しい?ので(狼じゃなくて)キツネに騙されてるのかと思ったほどです。
「音がズレて入る部分が多い」「半音階的進行が顕著」「B♭・E♭・A♭が低目になっているので、相対的に音程のバランスが取れている」がその理由でしょうかね~?
しかしこの音律で、例えば平均律クラヴィーア曲集(以下WTC)第1巻の22番変ロ短調(♭5つ)のプレリュードを弾くと、こうなってしまいます。
(途中まで)↓↓↓
これはちょっと厳しいですよね・・・(^ ^;)
不正音程がどの程度目立つかは、曲の書法によるところが大きいようです。
以下は私の推測ですが ────
★(WTCとは違い)ゴルトベルク変奏曲は大部分ト長調なので、それに最適化した音律で作曲された
★そうなると ♭系の調は不正音程を含みやすくなるので、それに配慮した曲の書き方をした
──── ような気がしますね。
誰だって仕事をする時は、それに合った「環境」を整えますよね。
そうでないと効率や気分に影響し、結果が悪くなるからです。
鍵盤音楽の作曲にも、同じようなことが言えるんじゃないでしょうか・・・。
★マジメに(笑)繰り返しています・・・後半は3分40秒から~
★動画の楽譜は旧バッハ全集版ですが、新バッハ全集版(べーレンライター)を見て打ち込んでいるため、前打音が付加されている箇所があります。
★10小節目後半の上声部、原典ではナチュラルが無いのでD#で弾くことになりますが、どう考えても音楽的に変なのでDにしています。
カークパトリック版はナチュラル有り、(CD等を聴くと)通常はD音で演奏されています。
♭2つのト短調で始まり、前半は五度上のニ短調の同名長調で終止します。
ここまでは普通の展開。
しかし後半はものすごいことになってます!↓↓↓
前半にもチラチラと出てきた A♭・D♭に加えて、G♭・C♭・F♭まで登場!
21小節目冒頭は、変ホ短調(♭6つの変ト長調の平行調)になってます。
こんな転調をしてるのは、ゴルトベルク変奏曲の中で第25変奏だけですよ。
♭系の調から五度圏の下を回って右側へ侵入?したため、F#でなくG♭、BでなくC♭のような記譜になるのですが、この音律には D♭・G♭・C♭・F♭が無いので、それぞれ代わりにC#・F#・B・Eが鳴っています。
(いずれも正しい音より相当「低い」)
しかし意外と崩れません・・・最初にこの音律で♭ゾロゾロの箇所を聴いた時は、あまりに美しい?ので(狼じゃなくて)キツネに騙されてるのかと思ったほどです。
「音がズレて入る部分が多い」「半音階的進行が顕著」「B♭・E♭・A♭が低目になっているので、相対的に音程のバランスが取れている」がその理由でしょうかね~?
しかしこの音律で、例えば平均律クラヴィーア曲集(以下WTC)第1巻の22番変ロ短調(♭5つ)のプレリュードを弾くと、こうなってしまいます。
(途中まで)↓↓↓
これはちょっと厳しいですよね・・・(^ ^;)
不正音程がどの程度目立つかは、曲の書法によるところが大きいようです。
以下は私の推測ですが ────
★(WTCとは違い)ゴルトベルク変奏曲は大部分ト長調なので、それに最適化した音律で作曲された
★そうなると ♭系の調は不正音程を含みやすくなるので、それに配慮した曲の書き方をした
──── ような気がしますね。
誰だって仕事をする時は、それに合った「環境」を整えますよね。
そうでないと効率や気分に影響し、結果が悪くなるからです。
鍵盤音楽の作曲にも、同じようなことが言えるんじゃないでしょうか・・・。
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短調の第15&21変奏~ゴルトベルク変奏曲
ウルフを四分割した修正ミーントーンで、今度はゴルトベルク変奏曲の短調曲(第15&21変奏)を試してみました。
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/fcad91b2817c28d82c7af86f27b0fea4/1339959632)
★いずれも繰返し省略 ↓↓↓
冒頭アリアと第14変奏までで、B♭とE♭が臨時記号付きで数回出てきますが、音階内の音として登場するのは、第15変奏が初めてです。
B♭は(通常ミーントーンと比べて)約10セント、E♭は約21セント低くなっています。
楽譜を見ながら聴いていると、E♭がだいぶ低くて「ギリギリかな?」と感じる方も多いと思います。
ハイ、確かにギリギリですね~(^ ^;)
「低目」の音程が短調特有の暗さを強調しているとか、半音階的なフレーズが多いので滑り込みセーフでしょうか。
★C#~B♭のウルフ三分割だとE♭がもう少し高くなりますが、広い五度をまともに弾いてしまい、耳障りなだけで何の音楽的意味もないので、四分割の方を採用した次第。
この低いE♭音は長調変奏で「ちと高いなあ」だった、D#と同じ音なんですが・・・
別人(音?)かよ!?な聴こえ方です。
他の音との相対関係で、こうも違うんですね。
もっとも、第14変奏まででD#の「絶対音高」に慣れてしまい、E♭がそれほど違和感なく聴ける人もいるかもしれません。
(このタイプの人は、逆に「分割鍵盤」楽器で今までのD#とは微妙に違うE♭が出てきたら、かえって気になるのでは?と思います)
臨時記号付きのA♭音は、G#が少し高くなっただけなので、A♭としては相当低いですが、これはどちらの変奏も意外と気にならないですね。
ちなみに通常のミーントーン(G#-E♭ウルフ)だと、このA♭が出てくる箇所でどうにも不安定になってしまいます。
やはり音律上にドカン!と大きな断絶があると、それをまたいでアッチとコッチを行ったり来たり・・・は難しいようです。
(それを「想定」して書かれた曲ならともかく、「後付け」は大抵無理がある)
次回は最後の短調変奏、第25変奏を取り上げます。
この変奏は使われている音が格段に多く、繰り返し記号の後には何と!D♭・G♭・C♭・F♭がゾロゾロ・・・。
以前はここを見て「ミーントーン系音律の出番じゃないな」と諦めていたんですが。
★いずれも繰返し省略 ↓↓↓
冒頭アリアと第14変奏までで、B♭とE♭が臨時記号付きで数回出てきますが、音階内の音として登場するのは、第15変奏が初めてです。
B♭は(通常ミーントーンと比べて)約10セント、E♭は約21セント低くなっています。
楽譜を見ながら聴いていると、E♭がだいぶ低くて「ギリギリかな?」と感じる方も多いと思います。
ハイ、確かにギリギリですね~(^ ^;)
「低目」の音程が短調特有の暗さを強調しているとか、半音階的なフレーズが多いので滑り込みセーフでしょうか。
★C#~B♭のウルフ三分割だとE♭がもう少し高くなりますが、広い五度をまともに弾いてしまい、耳障りなだけで何の音楽的意味もないので、四分割の方を採用した次第。
この低いE♭音は長調変奏で「ちと高いなあ」だった、D#と同じ音なんですが・・・
別人(音?)かよ!?な聴こえ方です。
他の音との相対関係で、こうも違うんですね。
もっとも、第14変奏まででD#の「絶対音高」に慣れてしまい、E♭がそれほど違和感なく聴ける人もいるかもしれません。
(このタイプの人は、逆に「分割鍵盤」楽器で今までのD#とは微妙に違うE♭が出てきたら、かえって気になるのでは?と思います)
臨時記号付きのA♭音は、G#が少し高くなっただけなので、A♭としては相当低いですが、これはどちらの変奏も意外と気にならないですね。
ちなみに通常のミーントーン(G#-E♭ウルフ)だと、このA♭が出てくる箇所でどうにも不安定になってしまいます。
やはり音律上にドカン!と大きな断絶があると、それをまたいでアッチとコッチを行ったり来たり・・・は難しいようです。
(それを「想定」して書かれた曲ならともかく、「後付け」は大抵無理がある)
次回は最後の短調変奏、第25変奏を取り上げます。
この変奏は使われている音が格段に多く、繰り返し記号の後には何と!D♭・G♭・C♭・F♭がゾロゾロ・・・。
以前はここを見て「ミーントーン系音律の出番じゃないな」と諦めていたんですが。
ゴルトベルク変奏曲~第6変奏とクオドリベット
バッハのゴルトベルク変奏曲を、ウルフ四分割ミーントーンで演奏する企画、長調の変奏を2つピックアップしてみました。
(今度はIMSLPから無事楽譜がダウンロードできたので、旧バッハ全集版の譜面で動画を作っています)
第6変奏・・・繰り返し記号より前に、この音律で通常のミーントーンから変更した音(B♭・G#)が出ます。
また後半では、アリアで登場したD#の他にA#も使われています。 ↓↓↓
別に問題ないかと思います♪ (^-^)
では一気に跳んで、第30変奏クオドリベット ↓↓↓
(繰り返しでは装飾を入れています)
後半のD#が出てくる箇所、少し気になりますね・・・特に第10小節。
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/fcad91b2817c28d82c7af86f27b0fea4/1339521667)
B-D#の、ピタゴラス長三度に近い広い長三度と、F#-D#の長六度(やはり大変広い)が一緒に鳴っているのがマズイのでしょうね。
ここは音楽的に、やや引き延ばし気味に演奏する箇所なので、D#音が高く浮いているのが目立ちます。
ゴルトベルク変奏曲の長調変奏全体で、ここが一番危ないかな?の箇所です。
バロックのこういうフレーズでは、D#音の箇所に装飾音が入るのが普通なのに、楽譜にはその指示がありません・・・音律的な都合は別にしても、楽譜どおりだと少し物足りないです。
チェンバロやっている人なら、つい手癖?でトリルを入れてしまうところかも。
(実際、ここに装飾を入れて録音している奏者もいます)
上の動画では、繰り返しの際にそのようにしてみました。
トリル(バロックでは通常、主音の上から)を入れると、音程的な不具合がほとんど気にならなくなるのが良く分かります。
なお12小節目では、B音の方にモルデントを入れています。
私はダウンロードしてきたMIDIで全変奏をこの音律で聴いていますが、長調変奏は概ねこんな感じで、大部分の人には「これでよいじゃん♪」と言ってもらえると思います。
なお、繰り返し記号前の部分がミーントーンと全く同じに響く変奏は、
第1、3、4、7、8、10、12、20、22、23、24、29、30・・・変奏になります。
次回は短調変奏を取り上げますが・・・3つしかないとはいえ、これが曲者なんですね~!
ト短調なので、すでに音階内に広い五度が2つもあります。
大丈夫なんでしょうか?(^ ^;)
(今度はIMSLPから無事楽譜がダウンロードできたので、旧バッハ全集版の譜面で動画を作っています)
第6変奏・・・繰り返し記号より前に、この音律で通常のミーントーンから変更した音(B♭・G#)が出ます。
また後半では、アリアで登場したD#の他にA#も使われています。 ↓↓↓
別に問題ないかと思います♪ (^-^)
では一気に跳んで、第30変奏クオドリベット ↓↓↓
(繰り返しでは装飾を入れています)
後半のD#が出てくる箇所、少し気になりますね・・・特に第10小節。
B-D#の、ピタゴラス長三度に近い広い長三度と、F#-D#の長六度(やはり大変広い)が一緒に鳴っているのがマズイのでしょうね。
ここは音楽的に、やや引き延ばし気味に演奏する箇所なので、D#音が高く浮いているのが目立ちます。
ゴルトベルク変奏曲の長調変奏全体で、ここが一番危ないかな?の箇所です。
バロックのこういうフレーズでは、D#音の箇所に装飾音が入るのが普通なのに、楽譜にはその指示がありません・・・音律的な都合は別にしても、楽譜どおりだと少し物足りないです。
チェンバロやっている人なら、つい手癖?でトリルを入れてしまうところかも。
(実際、ここに装飾を入れて録音している奏者もいます)
上の動画では、繰り返しの際にそのようにしてみました。
トリル(バロックでは通常、主音の上から)を入れると、音程的な不具合がほとんど気にならなくなるのが良く分かります。
なお12小節目では、B音の方にモルデントを入れています。
私はダウンロードしてきたMIDIで全変奏をこの音律で聴いていますが、長調変奏は概ねこんな感じで、大部分の人には「これでよいじゃん♪」と言ってもらえると思います。
なお、繰り返し記号前の部分がミーントーンと全く同じに響く変奏は、
第1、3、4、7、8、10、12、20、22、23、24、29、30・・・変奏になります。
次回は短調変奏を取り上げますが・・・3つしかないとはいえ、これが曲者なんですね~!
ト短調なので、すでに音階内に広い五度が2つもあります。
大丈夫なんでしょうか?(^ ^;)
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