不良音程も「出方」による?
ではこの↓↓↓修正ミーントーンで、今度はバッハのシンフォニア(三声インヴェンション)です。
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/fcad91b2817c28d82c7af86f27b0fea4/1340777200)
12番イ長調↓↓↓ 明るく快活な良い曲ですね♪
出だしはなかなか好調ですが、嬰へ短調へ移行する部分で、E#が出てくるとだいぶ崩れます。
この音律の#音は、G#⇒D#⇒A#の順に不良度(笑)が増し、E#音は無いので代わりにF(E#よりも高い)が鳴ることになります。
A#よりも先にE#が出るので、急に音程が上ずった音が聴こえて、ちょっとマズい感があるのは事実。
この音律の最悪音程C#-E#(F)も、バシバシ出てますね・・・(^ ^;)
ですがこのように、主調から離れた部分で崩れるのは、古典調律の宿命みたいなもので、ある程度は仕方ないし、こういう所が面白いと感じる人もいるでしょう。
ここを過ぎた後は比較的安定していて、終止少し前のD#(E♭との兼用音なので、かなり高い)もちょうど良い感じに聴こえるなど、まとめはまずまずです。
E#の連発は厳しいですが、私的にはギリギリ合格ですかね・・・この曲好きだし。(笑)
なおC#-E#が多用されていることから、この曲集が作曲された音律は、C#-E#間に純正より広い五度がほとんど残っていなかった(つまりミーントーンを「修正」したような音律ではなかった)と感じます。
不良音程も「出方」によるんですが、こっち↓↓↓は困りものですね・・・
11番はト短調で、ゴルトベルク変奏曲の短調変奏と同じ調です。
12番のように「ある部分一体が崩れる」ことはないですが、6小節目のココが気になりませんでしたか?↓↓↓
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/fcad91b2817c28d82c7af86f27b0fea4/1342183630)
B♭⇒E♭と動く上声が、狭い四度(広い五度の転回)を上がる動きであることと、E♭と低声のC音との短三度が狭すぎるため、低く聴こえてカッコ悪いです。
裏拍とはいえ、短く切ってごまかすような音ではないと思うんですが。
むしろ「タメ」を作りたい箇所なんですけどね。
聴いてるだけの人はともかく、演奏する側なら気になる音程だと思います。
まずいことに、全く同じ部分が曲の終わり三小節前にもあるんです。
この曲は、多くの装飾音が付いた稿も伝承していますが、このE♭には何も付いてませんね。
(装飾音は不良音程ごまかしに効果があるんですけど)
このように、「突然」ヘンな音程が聴こえるとか、冒頭主題や終止部分で崩れるのは困ったものだなと思います。
なお曲中何度も出てくるE♭は「D#と兼用」なので、E♭としては低いのが当然ですが、それが目立つ所とそうでない所、色々あるのが興味深いです。
様々な要因で、不良音程が目立ったり聴き過ごされたりするのでしょう。
・・・ということでこの修正ミーントーン、「インヴェンションとシンフォニア」全曲通しにはちと厳しい?判定を下しました。
もちろん、調号なし~#・♭1つの曲メインなら、不必要に均した音律よりずっと良いですが。
そこでこの音律で、曲の規模は大きくとも比較的無難な調性で書かれている、バッハの組曲系を試してみました。
すると、これはなかなか健闘してるじゃないのッ♪だったので、次回からしばらくはそちらをやってみます♪ \(^ ^*)
12番イ長調↓↓↓ 明るく快活な良い曲ですね♪
出だしはなかなか好調ですが、嬰へ短調へ移行する部分で、E#が出てくるとだいぶ崩れます。
この音律の#音は、G#⇒D#⇒A#の順に不良度(笑)が増し、E#音は無いので代わりにF(E#よりも高い)が鳴ることになります。
A#よりも先にE#が出るので、急に音程が上ずった音が聴こえて、ちょっとマズい感があるのは事実。
この音律の最悪音程C#-E#(F)も、バシバシ出てますね・・・(^ ^;)
ですがこのように、主調から離れた部分で崩れるのは、古典調律の宿命みたいなもので、ある程度は仕方ないし、こういう所が面白いと感じる人もいるでしょう。
ここを過ぎた後は比較的安定していて、終止少し前のD#(E♭との兼用音なので、かなり高い)もちょうど良い感じに聴こえるなど、まとめはまずまずです。
E#の連発は厳しいですが、私的にはギリギリ合格ですかね・・・この曲好きだし。(笑)
なおC#-E#が多用されていることから、この曲集が作曲された音律は、C#-E#間に純正より広い五度がほとんど残っていなかった(つまりミーントーンを「修正」したような音律ではなかった)と感じます。
不良音程も「出方」によるんですが、こっち↓↓↓は困りものですね・・・
11番はト短調で、ゴルトベルク変奏曲の短調変奏と同じ調です。
12番のように「ある部分一体が崩れる」ことはないですが、6小節目のココが気になりませんでしたか?↓↓↓
B♭⇒E♭と動く上声が、狭い四度(広い五度の転回)を上がる動きであることと、E♭と低声のC音との短三度が狭すぎるため、低く聴こえてカッコ悪いです。
裏拍とはいえ、短く切ってごまかすような音ではないと思うんですが。
むしろ「タメ」を作りたい箇所なんですけどね。
聴いてるだけの人はともかく、演奏する側なら気になる音程だと思います。
まずいことに、全く同じ部分が曲の終わり三小節前にもあるんです。
この曲は、多くの装飾音が付いた稿も伝承していますが、このE♭には何も付いてませんね。
(装飾音は不良音程ごまかしに効果があるんですけど)
このように、「突然」ヘンな音程が聴こえるとか、冒頭主題や終止部分で崩れるのは困ったものだなと思います。
なお曲中何度も出てくるE♭は「D#と兼用」なので、E♭としては低いのが当然ですが、それが目立つ所とそうでない所、色々あるのが興味深いです。
様々な要因で、不良音程が目立ったり聴き過ごされたりするのでしょう。
・・・ということでこの修正ミーントーン、「インヴェンションとシンフォニア」全曲通しにはちと厳しい?判定を下しました。
もちろん、調号なし~#・♭1つの曲メインなら、不必要に均した音律よりずっと良いですが。
そこでこの音律で、曲の規模は大きくとも比較的無難な調性で書かれている、バッハの組曲系を試してみました。
すると、これはなかなか健闘してるじゃないのッ♪だったので、次回からしばらくはそちらをやってみます♪ \(^ ^*)
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修正ミーントーンでインヴェンション
ゴルトベルク変奏曲で使った、C#~Fでウルフを四分割したミーントーンで、「インヴェンションとシンフォニア」を全曲鳴らしてみると ─── バッチリの曲もあるんですが、微妙だったり不具合が出るものもあり、予想したほど良くありませんでした。
★音律の五度圏図はこちら
どれも短い曲なので、それぞれに専用の音律で作曲されたとは考えにくく、おそらく全部を一つの音律で通すんだと思いますが、だとすればもっと均した方がいいようです。
では今回は「インヴェンション」 編────
ハ長調の第1番は全く問題ないですね・・・とても綺麗に響いています。
この曲の良さが素直に感じ取れます。↓↓↓
で、これ↑を踏まえて(笑)、5番を聴くと・・・↓↓↓
(市田版を見て打ってるので、装飾音が一部違います)
変ホ長調で始まり、変ロ長調・ハ短調・ヘ短調など、♭系の調を行ったり来たり、まあこの音律の広い五度領域をかなり使っている曲です。
のほほんとした、ちょっと面白い響きですよね。
ハ長調とはだいぶ違います・・・これが調性感ってものかもしれませんが。
破綻するような不具合は出ませんが、第1小節4拍目の上声 A♭がちょっと低いです。
その前の、モルデントが付いているG音との音程が、妙にくっついて聴こえますね。
(最初なのでちょっと気になる)
さらに曲が進むと出てくる D♭はもっと低い。
この音律にはD♭音が無く、代わりにC#が鳴っているので低いのは当然としても、同時に鳴っている音との組み合わせが悪いと、ギリギリに聴こえる箇所もあります。
実際、21小節目でこの音律の最悪音程C#(記譜はD♭)- F が出ている!
それが音楽的に面白いとも感じられるので、ダメとは言いませんが、音楽そのものより音律のクセの方が前面に出てしまうのが、どうもひっかかるんだな~(^ ^;)
一般に曲と音律が「合って」いれば、音律は良い意味で黒子に徹して、もっと目立たないと思うんですよ。
音律の存在を感じさせず、音楽だけが聴こえるのがベストなんじゃないかと。
例えば、上の音律でそんなに悪くないと思った人でも、こっちの方がずっと素直に「良い」と思えませんか?↓↓↓
キルンベルガー第三法、いいですね~♪(笑)
先に使った修正ミーントーンでは、純正より狭いミーントーンの五度が8つあるので、そのあおりを食らった?広い五度が4つありますが、第三法ではミーントーンの五度が4つしかないので、広い五度はもう残っていません。
(C#-F間は純正五度4つなので、ちょうどピタゴラス長三度)
この曲はヴェルクマイスターでも、キルンベルガー第三法とそんなに変わらず、大きな声じゃ言えませんが、平均律も割と良いです。(笑)
つまり、それくらい(広い五度が残っていない)まで均せば、何とか曲集全体をカバーできるようなんですね。
まだウルフや、その残骸である広い五度が残ってる「修正ミーントーン」では、ちょっと厳しいかなと。
この曲集は曲が短く音が少ないわりには、前述のC#-Fのような音律的に難しい音の組み合わせが結構出てくるんですよ。
#と♭が4つまでに制限されているとはいえ、「平均律クラヴィーア曲集」と大して違わない音律で書かれたのかもしれないです・・・。
★音律の五度圏図はこちら
どれも短い曲なので、それぞれに専用の音律で作曲されたとは考えにくく、おそらく全部を一つの音律で通すんだと思いますが、だとすればもっと均した方がいいようです。
では今回は「インヴェンション」 編────
ハ長調の第1番は全く問題ないですね・・・とても綺麗に響いています。
この曲の良さが素直に感じ取れます。↓↓↓
で、これ↑を踏まえて(笑)、5番を聴くと・・・↓↓↓
(市田版を見て打ってるので、装飾音が一部違います)
変ホ長調で始まり、変ロ長調・ハ短調・ヘ短調など、♭系の調を行ったり来たり、まあこの音律の広い五度領域をかなり使っている曲です。
のほほんとした、ちょっと面白い響きですよね。
ハ長調とはだいぶ違います・・・これが調性感ってものかもしれませんが。
破綻するような不具合は出ませんが、第1小節4拍目の上声 A♭がちょっと低いです。
その前の、モルデントが付いているG音との音程が、妙にくっついて聴こえますね。
(最初なのでちょっと気になる)
さらに曲が進むと出てくる D♭はもっと低い。
この音律にはD♭音が無く、代わりにC#が鳴っているので低いのは当然としても、同時に鳴っている音との組み合わせが悪いと、ギリギリに聴こえる箇所もあります。
実際、21小節目でこの音律の最悪音程C#(記譜はD♭)- F が出ている!
それが音楽的に面白いとも感じられるので、ダメとは言いませんが、音楽そのものより音律のクセの方が前面に出てしまうのが、どうもひっかかるんだな~(^ ^;)
一般に曲と音律が「合って」いれば、音律は良い意味で黒子に徹して、もっと目立たないと思うんですよ。
音律の存在を感じさせず、音楽だけが聴こえるのがベストなんじゃないかと。
例えば、上の音律でそんなに悪くないと思った人でも、こっちの方がずっと素直に「良い」と思えませんか?↓↓↓
キルンベルガー第三法、いいですね~♪(笑)
先に使った修正ミーントーンでは、純正より狭いミーントーンの五度が8つあるので、そのあおりを食らった?広い五度が4つありますが、第三法ではミーントーンの五度が4つしかないので、広い五度はもう残っていません。
(C#-F間は純正五度4つなので、ちょうどピタゴラス長三度)
この曲はヴェルクマイスターでも、キルンベルガー第三法とそんなに変わらず、大きな声じゃ言えませんが、平均律も割と良いです。(笑)
つまり、それくらい(広い五度が残っていない)まで均せば、何とか曲集全体をカバーできるようなんですね。
まだウルフや、その残骸である広い五度が残ってる「修正ミーントーン」では、ちょっと厳しいかなと。
この曲集は曲が短く音が少ないわりには、前述のC#-Fのような音律的に難しい音の組み合わせが結構出てくるんですよ。
#と♭が4つまでに制限されているとはいえ、「平均律クラヴィーア曲集」と大して違わない音律で書かれたのかもしれないです・・・。
ウルフ四分割ミーントーンについて考える
ゴルトベルク変奏曲で使ってみたウルフ四分割ミーントーンで、色々な曲を鳴らして使い勝手を試しています。
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/fcad91b2817c28d82c7af86f27b0fea4/1340777200)
この音律は、通常のミーントーンから3つ音を変更しています。
調性や音の組み合わせにより、多少崩れることはあっても、ミーントーンのように突然変な音が鳴って、大崩壊(爆)するようなことはなく、17世紀ものや#や♭が2個くらいまでの曲に、かなり使い回しができそうです。
最近は「何でもヴァロッティ」な風潮があると聞きましたが、チェンバロやってるならミーントーンの響きを知らなきゃ絶対ソンですよ♪
そういう意味で、常用調律にもおススメな音律です。
しかし五度圏図が読める方なら想像がつくでしょうが、この音律で「平均律クラヴィーア曲集」はちょっと無理あるかな・・・ですね。
一応第1巻からサンプル(笑)──── 1番・ハ長調プレリュード
↑↑↑これは良いですけど、↓↓↓こっちは・・・
3番・嬰ハ長調(#7つ)プレリュード
分散和音で書かれてるので、予想したよりはマシですが、終止和音が汚すぎますよね。
もっとも私は以前、ヴェルクマイスター使用というふれこみの「平均律~」のCDを聴いた時に、ハ長調がそれほどキレイなわけじゃないのに、嬰ハ長調もたいして崩れないのでガッカリした覚えがあるんです・・・「何だ意外とフツーじゃないか、つまんね」(笑)でしたが、このウルフ四分割ミーントーンくらいの調性感?があれば、満足したのかもしれません。
でも、テンポが遅いとか同時打鍵の和音が多い曲では、調号の多い調を中心にこの音律では聴き辛いし、演奏者にも好まれるとは思えないですね。
それで、インヴェンションとシンフォニア(#・♭4つまで)なら使えるかな?と思ったんですが、試してみると意外と細かな不具合が多いんです。
もちろん合う曲も多いんですが・・・「通し」は厳しい感じ。
つまり、インヴェンションとシンフォニアは(もし一つの音律で通すなら)もっと「均した」音律が想定されてるようなんですよ。
⇒ これについては、次回の記事で考えてみます。
一方、組曲系(フランス~、イギリス~、パルティータ)は思いのほか良いんです、これが!
思わず聴き惚れてしまうようなものも・・・♪
どうもバッハのチェンバロ曲は、組曲系 ⇒ まだミーントーンを引きずってる音律、「平均律~」「インヴェンション~」⇒ 新傾向の音律──と分けられるような気がしています。
この音律は、通常のミーントーンから3つ音を変更しています。
調性や音の組み合わせにより、多少崩れることはあっても、ミーントーンのように突然変な音が鳴って、大崩壊(爆)するようなことはなく、17世紀ものや#や♭が2個くらいまでの曲に、かなり使い回しができそうです。
最近は「何でもヴァロッティ」な風潮があると聞きましたが、チェンバロやってるならミーントーンの響きを知らなきゃ絶対ソンですよ♪
そういう意味で、常用調律にもおススメな音律です。
しかし五度圏図が読める方なら想像がつくでしょうが、この音律で「平均律クラヴィーア曲集」はちょっと無理あるかな・・・ですね。
一応第1巻からサンプル(笑)──── 1番・ハ長調プレリュード
↑↑↑これは良いですけど、↓↓↓こっちは・・・
3番・嬰ハ長調(#7つ)プレリュード
分散和音で書かれてるので、予想したよりはマシですが、終止和音が汚すぎますよね。
もっとも私は以前、ヴェルクマイスター使用というふれこみの「平均律~」のCDを聴いた時に、ハ長調がそれほどキレイなわけじゃないのに、嬰ハ長調もたいして崩れないのでガッカリした覚えがあるんです・・・「何だ意外とフツーじゃないか、つまんね」(笑)でしたが、このウルフ四分割ミーントーンくらいの調性感?があれば、満足したのかもしれません。
でも、テンポが遅いとか同時打鍵の和音が多い曲では、調号の多い調を中心にこの音律では聴き辛いし、演奏者にも好まれるとは思えないですね。
それで、インヴェンションとシンフォニア(#・♭4つまで)なら使えるかな?と思ったんですが、試してみると意外と細かな不具合が多いんです。
もちろん合う曲も多いんですが・・・「通し」は厳しい感じ。
つまり、インヴェンションとシンフォニアは(もし一つの音律で通すなら)もっと「均した」音律が想定されてるようなんですよ。
⇒ これについては、次回の記事で考えてみます。
一方、組曲系(フランス~、イギリス~、パルティータ)は思いのほか良いんです、これが!
思わず聴き惚れてしまうようなものも・・・♪
どうもバッハのチェンバロ曲は、組曲系 ⇒ まだミーントーンを引きずってる音律、「平均律~」「インヴェンション~」⇒ 新傾向の音律──と分けられるような気がしています。
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