ついにハ長調+キルンベルガー第一法♪ キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
さてついに来ました!ショパンのハ長調曲とキルンベルガー第一法のコラボです。
エチュード作品10の7、まずはお聴き下さい。
ハ長調なので当然白鍵の使用が多く、D音&A音も多用されています。
しかも中間で、キルンベルガー第一法が超苦手なニ長調にもなってるし!
実はD-Aのウルフを踏みまくっているのですが…気づいた人は手を挙げてください。
・
・
・
・
・
・・・と言われて何度か聴き直せば「もしかしてここかなあ」と思う人がいるかもしれません。
しかし前振り無しで一度聴いて、気づく人はほとんどいないはずです。
D・Aを同時打鍵している個所の一部↓
以前記事にした猫のワルツ同様、この曲も非常に速いテンポが指定されています ──── 確かに、こんなに速くちゃ分からないよ!ですね。
試しにシーケンサーで0.5倍速再生すると、もうバレバレで全くダメです。
これくらいのテンポでも危ないと思います。
きっちりショパン指定の速さで弾き切るのが必須条件。
しかし単に速いから偶然第一法で弾けるだけ、と言ってしまうのはどうかと思う点もあるのです。
ニ長調の部分は「delicato」(優美な/繊細な)の指示があり、しかも「p」です。
チャーミングな曲調を生かすように軽いタッチで弾けば、こんなに危ない個所(下楽譜で薄桃色の小節)があるのに、第一法でも何とか通過してしまいます。
極めつけはコーダ少し前のクライマックスで ──── ↓
D-Aの空五度にC#! 何と大胆なショパン様…!
良く聴くと響きに雑味があるんですけど、破綻には程遠く音楽的にはギリギリセーフ。
これもみんな偶然なんでしょうか???
このような危険個所(破綻せずとも響きは悪い)がいくつかあるも、それ以外は第一法の純正音程が大いに活躍、最後4小節もペダル踏みっぱなしでドミソだけなど、この曲は総合的に第一法で演奏する意味が十分にあります。
何しろ和音だらけのエチュードなので、平均律だと終始鈍い響きでウニョウニョウニョウニョウニョウニョウニョウニョ…とミミズか芋虫が這っているようにしか聴こえません。(笑)
キルンベルガー第一法だと和音のエッジが立っていて、シャカシャカと気持ちがいいですね。
ただし実際に演奏する場合は、相当上手く弾ける人でないと危険なのは確か。
(冒頭1小節の音型と運指を見ただけでも、私なんぞが一生練習しても指定の速さで弾くのは絶対無理な難しさです)
安全策をとるなら第二法がいいかもしれません。
F-AやA-Cが劣化しますが、上述の危険個所は改善されるので、どっちもどっちな印象です。
こういう例を見ると、キルンベルガー第一法って上級者向けの音律なんだなぁ・・・としみじみ思いますね。
【追記】キルンベルガー第二法バージョンはこちら
エチュード作品10の7、まずはお聴き下さい。
ハ長調なので当然白鍵の使用が多く、D音&A音も多用されています。
しかも中間で、キルンベルガー第一法が超苦手なニ長調にもなってるし!
実はD-Aのウルフを踏みまくっているのですが…気づいた人は手を挙げてください。
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・・・と言われて何度か聴き直せば「もしかしてここかなあ」と思う人がいるかもしれません。
しかし前振り無しで一度聴いて、気づく人はほとんどいないはずです。
D・Aを同時打鍵している個所の一部↓
以前記事にした猫のワルツ同様、この曲も非常に速いテンポが指定されています ──── 確かに、こんなに速くちゃ分からないよ!ですね。
試しにシーケンサーで0.5倍速再生すると、もうバレバレで全くダメです。
これくらいのテンポでも危ないと思います。
きっちりショパン指定の速さで弾き切るのが必須条件。
しかし単に速いから偶然第一法で弾けるだけ、と言ってしまうのはどうかと思う点もあるのです。
ニ長調の部分は「delicato」(優美な/繊細な)の指示があり、しかも「p」です。
チャーミングな曲調を生かすように軽いタッチで弾けば、こんなに危ない個所(下楽譜で薄桃色の小節)があるのに、第一法でも何とか通過してしまいます。
極めつけはコーダ少し前のクライマックスで ──── ↓
D-Aの空五度にC#! 何と大胆なショパン様…!
良く聴くと響きに雑味があるんですけど、破綻には程遠く音楽的にはギリギリセーフ。
これもみんな偶然なんでしょうか???
このような危険個所(破綻せずとも響きは悪い)がいくつかあるも、それ以外は第一法の純正音程が大いに活躍、最後4小節もペダル踏みっぱなしでドミソだけなど、この曲は総合的に第一法で演奏する意味が十分にあります。
何しろ和音だらけのエチュードなので、平均律だと終始鈍い響きでウニョウニョウニョウニョウニョウニョウニョウニョ…とミミズか芋虫が這っているようにしか聴こえません。(笑)
キルンベルガー第一法だと和音のエッジが立っていて、シャカシャカと気持ちがいいですね。
ただし実際に演奏する場合は、相当上手く弾ける人でないと危険なのは確か。
(冒頭1小節の音型と運指を見ただけでも、私なんぞが一生練習しても指定の速さで弾くのは絶対無理な難しさです)
安全策をとるなら第二法がいいかもしれません。
F-AやA-Cが劣化しますが、上述の危険個所は改善されるので、どっちもどっちな印象です。
こういう例を見ると、キルンベルガー第一法って上級者向けの音律なんだなぁ・・・としみじみ思いますね。
【追記】キルンベルガー第二法バージョンはこちら
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ギターとリュートの音色で音律聴き比べ
ショパンをやっている途中ですが、キルンベルガー第一法つながりで色々調べていて、面白い実験をしたので記事にします。
ネタ曲はステファン・へラー(1813~1888)の作品119-2 前奏曲ハ長調。
IMSLPで見つけた楽譜はこちら↓ (クリックで大きくなります)
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/fcad91b2817c28d82c7af86f27b0fea4/1374665869?w=481&h=500)
D・Aの同時打鍵なし、近接使用は1箇所のみで、キルンベルガー第一法で演奏可能、しかもウルフをC#-A♭にしたAs型ミーントーンでも大丈夫です。
しかしざっと打ち込みして聴いているうちに「ピアノ曲としては平板で地味だなあ、ギターなら丁度いいくらいだけど」と感じたので、音色を変えギター演奏風に編集してみました。
自分で演奏したことのない楽器をそれっぽく打ち込むのは難しいのですが、まあギターやってない人なら騙せる?程度には仕上がってると思います。
実際に弾いている人には突っ込まれる所があるかもしれませんけど。
ミーントーン、キルンベルガー第一法、平均律の順で鳴らしています。
(ギター曲として不自然な音をオクターブ移高したり、終結部分など多少アレンジした部分があります)
ついでにリュートもやってみました。
音源に「リュート」の音色がないので、リュートの元になった中東の楽器「ウード」を(リュートは複弦なので)2チャンネル重ねました。
低音が少し違うような気がしますが、聴いた感じはほぼリュートなので代用として差し支えないと思います。
これもミーントーン、キルンベルガー第一法、平均律の順です。
★どちらもある程度大きな音量か、ヘッドホン等でお聴きください
どうでしょうか…? 私の印象は ────
1、ギターよりリュートの方が音律の違いが良く分かる
2、ギターの平均律はまあ我慢できるが、リュートは酷い(聴いていられない)
3、19世紀の曲なのに、リュート+ミーントーンだと古楽っぽく聴こえる
4、ミーントーン、中間部分で低音のB♭・A♭の音程がイマイチ(特にギターで気になる)
5、五度は捨てている(笑)ミーントーンだが大いに健闘!
1は何故なんでしょうねえ?
使用音源は、実際の楽器の音色をサンプリングしたものではなく、波形をデジタル的に合成するタイプだと思うんですが…
2とも関係しますが、ギターは平均律で聴きなれているため、耳が不正音程に鈍感なのかもしれません。
平均律の響きも込みでその楽器のイメージができてるってことですね。(これはピアノも同様)
私はリュートのCDもたくさん持っていますが、やはりそれらは平均律よりマシな音律だから、「平均律リュート」に違和感があるんでしょう。
なので、プロのリュート演奏をほとんど聴いたことがなければ、「1」のように感じない人もいると思います。
4は、キルンベルガー第一法で鳴らしながら演奏を編集したせいもあります。
ミーントーンだったら、もう少し目立たないようにしたでしょう。
リュートの方であまり気にならないのは、音色によって音域による音量バランスが違うせいかと思います。
純正音程の割合で言えば、この曲では圧倒的にキルンベルガー第一法が優れていますが、長三度しか合っていないミーントーンが意外といいのは、本当に不思議ですね。
五度が5セント以上狭いっていうのは、かなり厳しいはずなんですけど・・・
独特の古風で親密な響きは、むしろこちらを好む人もいるかと思います。
鍵盤で「操作」しているとはいえ、チェンバロもギターやリュートと同じく弦をはじいて音を出すので、ミーントーンは撥弦楽器と相性がいいのかもしれません。
ネタ曲はステファン・へラー(1813~1888)の作品119-2 前奏曲ハ長調。
IMSLPで見つけた楽譜はこちら↓ (クリックで大きくなります)
D・Aの同時打鍵なし、近接使用は1箇所のみで、キルンベルガー第一法で演奏可能、しかもウルフをC#-A♭にしたAs型ミーントーンでも大丈夫です。
しかしざっと打ち込みして聴いているうちに「ピアノ曲としては平板で地味だなあ、ギターなら丁度いいくらいだけど」と感じたので、音色を変えギター演奏風に編集してみました。
自分で演奏したことのない楽器をそれっぽく打ち込むのは難しいのですが、まあギターやってない人なら騙せる?程度には仕上がってると思います。
実際に弾いている人には突っ込まれる所があるかもしれませんけど。
ミーントーン、キルンベルガー第一法、平均律の順で鳴らしています。
(ギター曲として不自然な音をオクターブ移高したり、終結部分など多少アレンジした部分があります)
ついでにリュートもやってみました。
音源に「リュート」の音色がないので、リュートの元になった中東の楽器「ウード」を(リュートは複弦なので)2チャンネル重ねました。
低音が少し違うような気がしますが、聴いた感じはほぼリュートなので代用として差し支えないと思います。
これもミーントーン、キルンベルガー第一法、平均律の順です。
★どちらもある程度大きな音量か、ヘッドホン等でお聴きください
どうでしょうか…? 私の印象は ────
1、ギターよりリュートの方が音律の違いが良く分かる
2、ギターの平均律はまあ我慢できるが、リュートは酷い(聴いていられない)
3、19世紀の曲なのに、リュート+ミーントーンだと古楽っぽく聴こえる
4、ミーントーン、中間部分で低音のB♭・A♭の音程がイマイチ(特にギターで気になる)
5、五度は捨てている(笑)ミーントーンだが大いに健闘!
1は何故なんでしょうねえ?
使用音源は、実際の楽器の音色をサンプリングしたものではなく、波形をデジタル的に合成するタイプだと思うんですが…
2とも関係しますが、ギターは平均律で聴きなれているため、耳が不正音程に鈍感なのかもしれません。
平均律の響きも込みでその楽器のイメージができてるってことですね。(これはピアノも同様)
私はリュートのCDもたくさん持っていますが、やはりそれらは平均律よりマシな音律だから、「平均律リュート」に違和感があるんでしょう。
なので、プロのリュート演奏をほとんど聴いたことがなければ、「1」のように感じない人もいると思います。
4は、キルンベルガー第一法で鳴らしながら演奏を編集したせいもあります。
ミーントーンだったら、もう少し目立たないようにしたでしょう。
リュートの方であまり気にならないのは、音色によって音域による音量バランスが違うせいかと思います。
純正音程の割合で言えば、この曲では圧倒的にキルンベルガー第一法が優れていますが、長三度しか合っていないミーントーンが意外といいのは、本当に不思議ですね。
五度が5セント以上狭いっていうのは、かなり厳しいはずなんですけど・・・
独特の古風で親密な響きは、むしろこちらを好む人もいるかと思います。
鍵盤で「操作」しているとはいえ、チェンバロもギターやリュートと同じく弦をはじいて音を出すので、ミーントーンは撥弦楽器と相性がいいのかもしれません。
エチュード「黒鍵」をピタゴラス律で
ショパンのエチュード作品10の5(通称「黒鍵」)は、黒鍵の華やかなパッセージを弾く右手だけでなく、変ト長調という調性から全体に黒鍵の割合が非常に多い曲です。
いわゆる音律の裏専科的な作品の代表ですね。
転調や和声の面では単純なので、キルンベルガー第一法で弾いても、ウルフのD-Aにはカスリもせず、明るく冴えた響きが良好です。
しかし第一法では、変ト長調の主和音五度G♭-D♭(F#-C#)が純正ではなく、スキスマ分だけ狭くなっているのが、あんまり嬉しくありません。
(下の音律図参照)
この少し狭い五度のおかげで、白鍵領域に純正長三度ができてるわけですが、この曲ではそれをほとんど利用してないので、キルンベルガー第一法の代わりに、G♭-D♭を純正五度にしてD-Aを-24セントにした、ピタゴラス律で演奏してみました。
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/fcad91b2817c28d82c7af86f27b0fea4/1353075483)
「brillante」(輝かしく)という指示にピッタリの印象ですね!
ピタゴラス律特有の、やや軽さを伴う開放的な響きが、この曲の性格と良く合っています。
(重みに欠けるので、深刻な内容の曲には向いてないと)
黒鍵のみ ──── つまり五音音階!の右手分散和音には多くの五度・四度が含まれ、それらがピタゴラス律では純正であることも、相性良しのポイントでしょう。
この曲は、ピタゴラス律のためにあるようなものかもしれません。
しかし問題も散見されます。
・主題冒頭などの、フォルテで弾く左手和音がトゲトゲしい
⇒長・短三度の音程が悪いため
・中間部クライマックス直前の重要なバス、B♭♭(=A音)がちと低い?↓
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/fcad91b2817c28d82c7af86f27b0fea4/1373542008)
★A音はこの音律内で、相対的に最も低い←キルンベルガー第一法と同様
★キルンベルガー第二法にすれば、ちょうど良い感じ
・左手に旋律が移った時、和音の音程が悪いのが目立つ↓
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/fcad91b2817c28d82c7af86f27b0fea4/1373542024)
以上、全部左手関連ですが、まあこの曲の主役は右手ということで、目(耳?)をつぶりました。
古典調律では「あれもこれも」と二兎を追わずに、捨てるものは捨てる覚悟も大切ですね。
この曲は平均律でも大きな不都合はありませんが、ピタゴラス律と比べて左手問題は多少緩和されるも、右手もどことなく曇るので、特徴のない響きになってしまいます。
個性的な曲だけに、それではもったいないです・・・。
いわゆる音律の裏専科的な作品の代表ですね。
転調や和声の面では単純なので、キルンベルガー第一法で弾いても、ウルフのD-Aにはカスリもせず、明るく冴えた響きが良好です。
しかし第一法では、変ト長調の主和音五度G♭-D♭(F#-C#)が純正ではなく、スキスマ分だけ狭くなっているのが、あんまり嬉しくありません。
(下の音律図参照)
この少し狭い五度のおかげで、白鍵領域に純正長三度ができてるわけですが、この曲ではそれをほとんど利用してないので、キルンベルガー第一法の代わりに、G♭-D♭を純正五度にしてD-Aを-24セントにした、ピタゴラス律で演奏してみました。
「brillante」(輝かしく)という指示にピッタリの印象ですね!
ピタゴラス律特有の、やや軽さを伴う開放的な響きが、この曲の性格と良く合っています。
(重みに欠けるので、深刻な内容の曲には向いてないと)
黒鍵のみ ──── つまり五音音階!の右手分散和音には多くの五度・四度が含まれ、それらがピタゴラス律では純正であることも、相性良しのポイントでしょう。
この曲は、ピタゴラス律のためにあるようなものかもしれません。
しかし問題も散見されます。
・主題冒頭などの、フォルテで弾く左手和音がトゲトゲしい
⇒長・短三度の音程が悪いため
・中間部クライマックス直前の重要なバス、B♭♭(=A音)がちと低い?↓
★A音はこの音律内で、相対的に最も低い←キルンベルガー第一法と同様
★キルンベルガー第二法にすれば、ちょうど良い感じ
・左手に旋律が移った時、和音の音程が悪いのが目立つ↓
以上、全部左手関連ですが、まあこの曲の主役は右手ということで、目(耳?)をつぶりました。
古典調律では「あれもこれも」と二兎を追わずに、捨てるものは捨てる覚悟も大切ですね。
この曲は平均律でも大きな不都合はありませんが、ピタゴラス律と比べて左手問題は多少緩和されるも、右手もどことなく曇るので、特徴のない響きになってしまいます。
個性的な曲だけに、それではもったいないです・・・。
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